トップメッセージ

「地域共存」「顧客尊重」を実現する
ビジネスモデルを追求し
企業価値の最大化を目指します

頭取
長堀和正

取り巻く経営環境

大きく変転する経済・社会環境のなか武蔵野銀行の存在意義を問い直す

国内経済については、史上初の日経平均株価7万円超えに象徴される堅調な企業業績のもと、企業の賃上げ姿勢が継続しており、日本銀行の金融政策正常化と相まって、「賃金と物価の好循環」創出の流れが鮮明となっております。
また、雇用・所得環境の改善に加え、インバウンドが下支えする形で個人消費も底堅く推移しております。
地域経済につきましては、再開発等を背景とした地価上昇が続いておりますほか、省力化・生産性向上に向けた企業の投資意欲が持続するとともに、飲食・サービス等を中心に個人消費も堅調に推移しており、「緩やかな回復軌道」を辿っているというこれまでの基本認識に変わりはありません。
こうしたなか、2026年2月以来の米国・イランの軍事衝突の影響が、国内および地域経済の先行きに影を落としております。
4月下旬に実施したお取引先企業2,400社へのヒアリング調査では、石油由来製品の納入遅延・停止、原材料・燃料価格の高騰などにより、2社に1社で何らかの影響が出ていることが明らかとなっております。
相談窓口の開設や制度融資の新設をはじめとした各種支援に注力しておりますが、なお予断を許さない状況と受け止めております。
人手不足や後継者不在といったかねてからの課題に加え、このように大きく変転する経済・社会環境のなか、数多くの企業経営者の方々が今後の舵取りに悩まれているものと拝察いたします。
「地域共存」「顧客尊重」の経営理念を掲げる私どもとしましては、常にお客さまに寄り添い、共に悩み、親身に考え、最適な解決へと導いていくことこそが課せられた使命であり、また、存在意義であると改めて痛感しております。

前中期経営計画「MCP 1/3」(2023~2025)の成果と課題

基盤構築の確かな手ごたえから本格的な実行フェーズに繋げていく

前中期経営計画「MCP 1/3」は、10年間の長期ビジョン「MCP(Musashino mirai-CreationPlan)」の第1フェーズとして、「リアルとデジタルを融合し、地域・お客さまと共に歩む」「あらゆる価値を認め合い、多彩な人材が躍動する」という2つのテーマを掲げ、コンサルティングビジネスの一層の強化や、それを支えるDXの推進、人的資本経営の高度化に注力してまいりました。
コンサルティングビジネス強化に向けては、セグメント別営業態勢を確立するべく営業店の担当者を法人・個人それぞれの分野に明確化するとともに、本部組織もセグメント別に再編し専門スタッフによる支援強化を図ることで、お客さま接点の拡大と最適なサービス提供に努めてまいりました。
また、DX推進に向けては新設したデジタル推進部のもと、新たな顧客体験創出と効率的な業務運営に向けた取組みを緒に就け、最新のテクノロジーの積極的な採り入れを図ってまいりました。
人的資本経営については、約9年ぶりに人事制度を抜本的に改正し、キャリアルートの明確化や処遇改善を図るとともに、従業員の専門性とエンゲージメントを高める様々な制度、研修・支援の枠組みを整備してまいりました。
こうした取組みを通じ、コンサルティングビジネスによる役務取引等利益は過去最高水準となる110億円台まで伸長しており、預貸ビジネスと並ぶもう一つの柱として定着が進んだものと認識しております。
預貸およびコンサルティングビジネスが順調に推移してまいりました結果、「MCP 1/3」最終年度となる2026年3月期は、銀行単体で7年連続の最終増益、過去最高益を更新し、ROEなど主要な経営指標も目標を上回る成果を達成することができました。
このように長期ビジョン「MCP」実現に向けた「強固な基盤づくり」に確かな手ごたえを感じております一方、更なる飛躍に向けた課題も認識しております。
具体的には、総合コンサルティングの実現に向け、顕在化した足元の課題・ニーズのみならず、もう一段踏み込んだ取組みを行い、お客さまから大きな期待を寄せられるような競争優位性を発揮していく必要性を感じております。
また、私ども武蔵野銀行の成長の源泉となる地元埼玉県の持続可能性をより高めていく取組みについて、今以上に主体的に取組んでいくことも必須と考えております。

新中期経営計画「MCP 2/3」

リスクと機会を捉え、確固たるビジネスモデルの確立を目指す

日本M&Aセンターとの事業承継セミナーに登壇

当行では、マザーマーケットである埼玉県の市場優位性や成長力を取り込み、中小企業向け貸出や個人ローンといった預貸ビジネスを強化するとともに、法人・個人のあらゆる課題を解決していくコンサルティングビジネスを拡充していくことをビジネスモデルの根幹に据えております。
そして、これまで蓄積してきた財務資本や人的資本などの強みを活かすとともに、価値創造の基盤となるガバナンスを高度化していくことで、より競争優位性の高いビジネスモデルの実現を目指しております。
こうした目指すべきビジネスモデルを踏まえ策定したのが、長期ビジョン「MCP」実現に向けた第2フェーズとなる中期経営計画「MCP 2/3」です。
地域とお客さまの課題を解決する最良のパートナーとして「確固たる存在感」を確立し、企業価値を高めていくフェーズとして、計画期間は4年間といたしました。
「MCP 2/3」の策定にあたり、当行では重点的に取組むべきテーマ、すなわち、マテリアリティを設定しました。
埼玉県は、人口・産業が高度に集積するなど経済圏としての優位性を有していますが、中長期的には少子高齢化という構造変化は不可避となります。中期経営計画「MCP 2/3」ではこうした当行を取り巻く外部環境のリスクと機会を整理・分析したうえ、5つのマテリアリティを設定し、その解決と企業価値向上に繋げていくため、3つの基本戦略に取組んでいくこととしました。
未来を共に創るパートナーとしての地位の確立に向けた基本戦略として「価値共創コンサルティングへの深化」と「埼玉の新たな価値創出への貢献」を、価値創出の源泉となる基盤の確立に向けた基本戦略として「未来を支える経営基盤の構築」をそれぞれ掲げております。
基本戦略Ⅰ「価値共創コンサルティングへの深化」は、これまでの課題解決営業、すなわち、顕在化した足元の課題・ニーズに応えるという営業のあり方から、もう一段高い次元のコンサルティングへの深化を目指すという強い意志が込められています。
具体的には、対話を通じた深いお客さま理解のもと、ありたい姿を共に考え、その実現に向け最適なソリューションを提供し、そこで終わりにするのではなく、解決策実行後も進捗状況や効果を検証し、お客さまと共にありたい姿への道筋の解像度を上げてまいります。
法人のお客さまに向けては、これまで同様、伴走支援やファイナンス提供は勿論ですが、県内企業の多くが抱える事業承継課題の解決に向けたサポートを一層強化してまいります。
また、ベンチャー企業・スタートアップ企業への支援強化や、ストラクチャードファイナンスの拡充に注力してまいります。

個人のお客さまに向けては、資産形成から承継・相続に至る多彩なコンサルティングをライフプランを通じ提供していくほか、店舗でのタイムリーな情報提供や、スマホアプリを活用したパーソナライズ提案を展開していく計画です。
これらの取組みをよりドライブさせていくため、デジタル・AI活用による行内業務の生産性向上とお客さまへの最適な提案をともに実現していく計画であり、銀行業務に特化したAIエージェントの開発・実装や、営業を支援するCRMシステムの刷新などに取組んでまいります。
特に後者のCRMシステムについては、管理面に主眼が置かれた現在のシステムから、担当者がお客さま起点で「次の一手」を考え、しっかりと伴走していけるような環境を整えていくことを目指し、全面的な見直しを行ってまいります。
あわせて、グループ機能を最大限に発揮することで幅広い金融・非金融サービスの提供に努めていくほか、法人および個人向けソリューションやデジタルといった専門分野への人員増強・育成強化を進めていく方針です。計画期間内で約200名の再配置を予定していますが、本部の特定専門分野に総人員の1割をシフトしていくことで、営業店がキャッチしたお客さま課題・ニーズをより的確・迅速に解決していくことを目指しております。
なお、専門分野への人員増強としては、個人のお客さま向けに総合ソリューションを提供する本部スタッフの「ウェルスマネージャー」を大幅に増員するなど「MCP 2/3」のスタートに合わせた取組みも展開しております。
基本戦略Ⅱ「埼玉の新たな価値創出への貢献」では、暮らし・文化・自然といった埼玉の多彩な魅力を、今以上に向上させていく中心的存在を目指してまいります。
地域活性化に向けては、これまで蓄積してきた地域情報やノウハウ、ネットワークを最大限活用し、安全・安心、インクルーシブで持続可能なまちづくりや、少子高齢化社会を乗り越える地域コミュニティの共創に注力してまいります。
あわせて、地域産業革新の実現に向け、ものづくり企業支援に取組んでいくとともに、農業分野での課題解決拡充や現在展開中のアグリイノベーションプロジェクトの拡大に取組んでまいります。
また、サステナビリティへの取組みとして、当行グループにおけるカーボンニュートラルに取組んでいくのは勿論ですが、取引先の脱炭素支援によるScope3削減や、埼玉県の豊かな生態系の維持・向上に向けた取組みを加速してまいります。温室効果ガスの2割を排出していると言われる中小企業ですが、中小企業サイドからは、脱炭素に向けて「何から始めればよいのかわからない」といった戸惑いの声も聞こえており、そうした声にお応えするべく1社1社の状況に応じた伴走支援を行ってまいります。
このほか、地域企業の持続可能な基盤確立に向け、大学等と連携したウェルビーイング経営支援の拡充に努めていくほか、人生100年時代を見据えた幅広い世代への金融経済教育を展開してまいります。基本戦略Ⅲ「未来を支える経営基盤の強化」につきましては、先に述べた2つの基本戦略、これによる価値創出の源泉として、未来を支える強固な基盤を確立させてまいります。
DX・AIによる行内業務効率化を進めるともに、「MCP 2/3」の原動力となる人材・組織の力を最大限に高めていく方針です。
加えて、「千葉・武蔵野」「TSUBASA」の両アライアンスを活用し、都内戦略の拡充や各種事務・業務の共同化・共通化も加速させていく計画です。
また、当行では6月に監査等委員会設置会社に移行いたしましたが、こうしたコーポレートガバナンスの実効性向上に向けた不断の取組みに努めてまいります。

2026年度入行式にて新入行員とともに

中長期的に目指す姿

長期ビジョンは地域に寄り添う姿勢あってこそ成し遂げられる

当行は来年創業75周年を迎えます。当時の設立趣意書には「県下の金融難を緩和する目的をもち、県民に愛される銀行」を目指すと記されています。
1社1社、一人ひとりのお客さまのそばに寄り添い、信頼・信用を築いていくという私どものこうした価値観は将来に亘ってもいささかも変わらないものと考えています。
また、地域・お客さまの課題を解決し、高いお客さま満足を提供するとともに、地域の持続的成長に貢献していく。そのために、預金・貸出金という本源的なコアビジネスと、高度なコンサルティングによるフィービジネスを追求し、どこまでも磨きをかけていくこと、このことは当行にとって永遠に問い続けていくべきテーマです。
創業以来変わらぬ価値観、そしてビジネスモデルの磨き上げというテーマに向け、創造と革新を加速させていくことが私をはじめとした経営陣に課せられた責務だと認識しています。
デジタルをはじめとした最新テクノロジーのスピーディな採り入れは勿論、企業価値の源泉となる人的資本の強み、すなわち従業員の創造性とエンゲージメントを最大限に高めていくため、しっかりとリーダーシップを発揮していかなければなりません。
そして、このことが、長期ビジョン「MCP」で標榜する「地域№1のソリューションで埼玉の未来を切り拓く」存在に向けた、「地域・お客さまの期待を超える存在へ」「組織・従業員の力を最大化」という2つの基本方針の実践に他ならないと考えています。

さいごに

ステークホルダーの皆さまへ

私ども武蔵野銀行では、2025年6月に「IR広報室」を新設し、株主・投資家をはじめとしたステークホルダーの皆さまとの対話充実に努めております。
対話では成長戦略はもとより資本の有効活用やガバナンスの一層の高度化など、様々なご意見ご要望をいただいており、4月よりスタートした中期経営計画「MCP 2/3」に出来る限り反映させていただいております。
「MCP 2/3」で掲げている連結ROE10%以上、親会社株主に帰属する当期純利益300億円以上といった経営指標につきましては、ステークホルダーの皆さまから「アグレッシブな目標で期待している」といった声を多く頂戴しております。
当行のこれまでのトラックレコードに比して高い水準の目標とはなりますが、前中期経営計画「MCP 1/3」で築いた強固な基盤のもと、肥沃なマーケットである埼玉県の特性に応じた成長戦略を着実に遂行していくこと、あわせて、効率性を意識した規律ある資本運営を行っていくことで実現していけるものと考えております。
私をはじめとした経営陣はもとより、従業員一人ひとりが前中期経営計画「MCP 1/3」の成果に自信を深めております。引き続きモチベーション高く、「MCP 2/3」の戦略遂行に努めていく所存です。
今後につきましても、お客さま、株主さま、地域社会など、全てのステークホルダーの期待にお応えできるよう、創業以来変わらぬ「地域共存」「顧客尊重」の経営理念のもと、グループ役職員一同、業務に一層邁進していく所存です。
皆さま方からのご支援ご愛顧を賜りますよう、衷心よりお願い申し上げます。