企業価値向上に向けた取組み

当行では中期経営計画「MCP 1/3」(2023年4月~2026年3月)において目標とする経営指標として、ROE4.5%以上を掲げておりましたが、足元、2025年3月のROEは4.85%と1年前倒しでの目標達成となりました。これを踏まえ、中期経営計画期間中のROE目標を「5%以上」に切り上げ、成長戦略の遂行を通じ収益力の更なる強化に努めております。あわせて、地域経済成長に向けたリスクテイク、成長投資、株主還元のそれぞれが拡充・強化される資本政策を実践し、企業価値の更なる向上を目指しています。

企業価値の現状認識と改善の方向性

PBRは足元で約0.4倍であり、当行の利益成長やその源泉である埼玉県の市場優位性を十分反映したものであるとは認識しておりません。ROE向上とあわせて、利益の期待成長率向上や株主資本コスト引下げに繋がる取組みを継続的に行ってまいります。

ROE向上に向けては、中小企業向け貸出や個人ローンといったコアビジネスを強化するとともに、アセットを用いないフィービジネスの拡充やコストコントロール強化に努めております。あわせて、RWA(リスク・アセット)コントロールの高度化、成長投資や株主還元の強化に取組んでいます。

ROEおよびPBRの推移

ROE(東証基準)

ROE(東証基準)

PBR(3月末株価による)

PBR(3月末株価による)

PBR向上に向けたロジックツリー

PBR向上に向けたロジックツリー

収益力の強化

収益力強化に向けマザーマーケットである埼玉県の成長を取込み、中小企業向け貸出や住宅ローンなどのコアビジネスを強化するとともに、コンサルティングによるフィービジネスを拡充させていく方針としております。
利益成長率については、実質県内総生産の成長率を上回る推移を続けており、収益力の着実な強化が図られていると考えております。

収益力の強化

当期利益(単体)

持続的な利益成長

当期利益(単体)

利益成長率

マーケットを上回る成長率

利益成長率

RORA向上に向けた取組み

RORA(リスク・アセット利益率)については、継続的な向上が図られており、足元で0.74%となっております。RORAを意識した営業活動の浸透に向け、2022年より継続的に取組んでおり、全店評価への導入、研修の充実や複合的な提案に繋げるツールの高度化を実施しております。
また、高RORAアセットへの投資として、当行のコアビジネスである中小企業向け貸出や住宅ローンを一層拡充していくことで更なるRORA向上に繋げてまいります。

RORAの推移(連結・FIRBベース)

RORAの推移(連結・FIRBベース)

RORAを意識した営業活動の浸透

2022年より継続的な取組みを実施

  • 全店の評価にRORAを導入、動機付けを強化
  • 従業員一人ひとりの理解向上に向けた研修充実
  • 預金やコンサルティング等、複合的提案に繋げるツール高度化

お取引先に寄り添った提案強化により、収益性の一層の向上へ

高RORAアセットへの投資=コアビジネス強化

強みである中小企業向け貸出・住宅ローンを一層拡充

高RORAアセットへの投資=コアビジネス強化

資本運営に関する考え方

資本運営については、地域経済成長へのリスクテイク、成長を下支えする投資、株主還元のそれぞれが拡充・強化される好循環創出を目指す方針としております。リスクテイクにつきましては、埼玉の成長を取り込んだ金融仲介機能の発揮に努めるとともに、毎期の利益成長によりリスクイベントに備えた健全性も確保してまいります。

資本運営に関する考え方

成長戦略を加速させるための投資

成長戦略を加速するための投資として、デジタルと人的資本に積極的に投資していく方針です。デジタル分野についてはスピード感ある投資により成長基盤の拡充を進めており、投資額は中期経営計画3年間の当初計画40億円を上回る見通しです。
また、人的資本については、コンサルティングやデジタルのスキル・能力開発を促すため研修の充実を図っており、一人あたり人材投資額を拡大させております。あわせて、人材の確保・維持、エンゲージメントの向上に向けたベアや初任給引上げも継続しております。

デジタル分野への投資

スピード感ある投資により、成長基盤を拡充

デジタル分野への投資

お客さま利便性・サービス向上

スマートフォンアプリの
機能拡充

生産性向上

コミュニケーション基盤の
全面刷新

先進テクノロジーによる新たな顧客体験創出

人的資本への投資

従業員のスキル・能力開発支援の充実

企業の経営課題解決・
伴走支援ノウハウ

ライフプラン
コンサルティング

デジタル・IT
リテラシー

人的資本への投資

人材の確保・維持に向けたベースアップ等の実施

2023年4月 2024年4月 2025年4月 2026年4月
初任給
引上げ
初任給
21万円
22万円
(+1万円)
25.5万円
(+3.5万円)
28万円
(+2.5万円)
2024/3期 2025/3期 2026/3期
ベースアップ 平均3%
(若年層従業員)
平均6%
(全従業員)
平均5.5%
(全従業員)
臨時従業員
時給引上げ
+30円 +50円 +100円

自己資本比率

当行は2024年3月期よりバーゼルⅢの最終適用を受けており、本基準に基づく自己資本比率は13.27%となりました。
前年比3ポイント上昇しておりますが、これは分母となるリスク・アセットの段階的な調整の影響が2025年3月期は最も大きくなっていることによるものです。
今後につきましては、資本の額を一定と仮定すると、2029年3月期にかけて低下し、11%を大きく上回らない水準となる見通しとなっています。
なお、中期経営計画「MCP 1/3」における11%以上という目標は、健全性を維持しつつ、成長に向けた貸出増強などのリスクテイクが十分行える水準として設定したものです。
引き続き、リスク・アセット拡大や株主還元充実などを踏まえたコントロールに努めてまいります。

自己資本比率 段階的リスク・アセット調整(フロア調整)について

政策保有株式

政策保有株式につきましては、2018年3月期からの7年間で、31先、約93億円を縮減してまいりました。

1社1社との十分な対話を経た上で、安定的・中長期の取引関係維持や地域経済の発展など保有意義が認められる場合においてのみ、限定的に保有を継続し、純資産に対する時価の割合として20%を意識しつつ、縮減に努めていく方針です。

政策保有株式

株主還元

2022年3月期より増配を継続し、2025年3月期には、1株当たり125円の配当を実施しました。
2026年3月期も、5期連続増配となる1株当たり140円の配当を予定しております。
利益成長とあわせ累進的配当を目指しながら、自己株式取得も機動的に行ってまいります。

株主還元