武蔵野銀行

金融機関コード:0133

TCFD提言への取組み

項目 取組内容

ガバナンス

頭取を委員長とする「サステナビリティ推進委員会(以下、「委員会」という。)」、その下部組織の「サステナビリティ検討部会」において企画立案、進捗管理等を行っています。

また、定期的に取締役会へ取組みを報告することとしています。これにより、取締役会が気候変動への取組みを監督する態勢を構築しています。

委員会は、頭取をはじめとする取締役および本部部長をメンバーとして、気候変動を含む環境や社会に係る機会およびリスクへの対応方針や取組計画等を協議しています。

気候変動を含む環境への取組みをグループ全体で推進するため、2021年12月には「サステナビリティ基本方針」「環境方針」を制定し、気候変動に関するリスクへの対応が地球環境に係る重要な課題であることを認識したうえで、脱炭素社会の実現を目指した取組みを実施することを定めています。

2022年3月にはサステナビリティに関わる全行的取組みを統括・推進する専門組織として、総合企画部内に「サステナビリティ推進室」を設置しました。地元企業のサステナビリティ経営支援、より主体的・先導的な地方創生・地域活性化に取組むとともに、先鋭化する気候変動・生物多様性などの環境問題やダイバーシティ&インクルージョンといった課題についても、同室が中心となり組織横断的に分科会(地域経済活性化分科会、地域社会活性化分科会、環境・ダイバーシティ分科会)を組成して取組んでいます。

2023年度よりスタートした中期経営計画において、武蔵野銀行SDGs宣言への取組みを主要戦略に組み込み、多様な取組項目毎に具現化を進めていきます。

戦略

時間軸

短期(概ね5年)、中期(概ね10年)、長期(概ね30年)の時間軸を考慮して気候変動に伴うリスク(物理的リスク、移行リスク)と機会の分析を検討しています。

物理的リスク リスクの特定

物理的リスクとしては、IPCCのSSP5-8.5シナリオ(4℃上昇シナリオ)を前提として気候変動に起因する自然災害によって以下の信用リスクが増加する可能性を認識しています。

  • 風水災等の洪水発生に起因する不動産担保の損壊等による信用リスクの発生(短期〜長期)
  • お客さまの営業拠点被災に伴う事業停滞による信用リスクの発生(短期〜長期)

あわせて埼玉県の気候、地形等に応じた気候変動の要因についても今後調査研究していきます。

シナリオ分析
不動産担保価値影響額/売上減少割合(事業停滞の影響)

台風・豪雨等風水災による埼玉県内全域における洪水を想定した当行不動産(建物)担保の損壊等による担保物件への影響を分析しました。当行が主たる営業基盤とする埼玉県は国内でも河川面積の割合が大きく平地割合も大きいことから、洪水による担保物件への影響については、事業性貸出金に加え住宅ローンについても分析対象としました。分析にあたっては、担保物件所在地の浸水度合をハザードマップから調査し、かつ建物については階数による浸水割合を考慮しました。

また、当行取引先が浸水した場合の売上減少想定額についても上記調査と同様に分析しました。分析にあたっては、本社所在地の浸水度合をハザードマップから調査し、国土交通省水管理・国土保全局「治水経済マニュアル」による浸水度合毎の営業不稼動日数を勘案しました。以上の分析の結果、与信関係費用への影響は最大29億円となりました。

今後は、洪水だけでなく気温上昇による熱中症リスクや取引先の本社以外の重要拠点浸水による影響等も調査研究していきます。

移行リスク リスクの特定

移行リスクとしては、IEA国際エネルギー機関のNZEシナリオを前提に脱炭素社会への移行過程における以下の信用リスクが増加する可能性を認識しています。

  • 気候変動に関する規制や税制等の変更に伴うお客さまの事業への影響による信用リスクの発生(中期〜長期)
  • 脱炭素関連技術の失敗や市場の変化に伴う事業撤退による信用リスクの発生(中期〜長期)
シナリオ分析

貸出取引量(件数、金額)や移行リスクの高さ等、当行及び埼玉県における脱炭素社会への移行による影響を勘案して、「不動産」「自動車部品」「陸上運輸」「電力」の4つの業種について分析を実施しました。

その結果、与信関係費用の増加額は最大12億円となりました。

機会

お客さまのSDGsの取組みや気候変動に伴う脱炭素社会への移行にあたって、地域金融機関としてのビジネス機会の増加を想定しており、ESG及び脱炭素経営等を支援する以下の取組みを強化しています。(短期〜長期)

  • 融資商品として、2021年9月に「むさしのサステナビリティ・リンク・ローン」、2022年4月に「むさしのSDGsフレンズ・ローン」.「むさしのサステナビリティ・フレームワーク・ローン」、2022年8月に「むさしの優良企業サステナブルファンド」の取扱いを開始
  • コンサルティング商品として、2021年10月に「SDGsコンサルティング」、2022年4月に他社と連携した「SDGs診断サポート」.「脱炭素コンサルティング」の取扱いを開始
その他

当行貸出金等に占める炭素関連資産(※)の割合:27.13%程度

  • ※炭素関連資産:2021年10月改訂のTCFD提言が推奨する定義を踏まえた4セクター(1.エネルギー、2.運輸、3.素材・建築物、4.農業・食糧・林業製品)向け2023年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、私募債等の合計。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除きます。

リスク
管理

気候変動リスクの特定と管理体制

当行は、気候変動に起因する物理的リスクや移行リスクが、当行の事業運営、戦略、財務計画に大きな影響を与えることを認識しています。

今後、気候変動に関連する物理的リスクや移行リスクに関する定性的および定量的な分析結果を踏まえ、お客さまの事業活動に及ぼす信用リスクとして、統合的リスク管理の枠組みの中で管理する体制の構築に努めていきます。

気候変動リスクを踏まえた融資ポリシーの公表等

投融資方針では、地球温暖化に直接的な影響を及ぼす石炭火力発電所向け与信の厳格化等を含む当行の与信上の取組姿勢を明文化しています。

指標と
目標

サステナブルファイナンス目標

地域社会の「脱炭素化」実現に資するサステナブルファイナンスの実行金額の目標を設定しました。

2021年度から2030年度までの10年間で、累計1兆円の実行を目指します。

なお、2022年度までのサステナブルファイナンスの実行金額は1,886億円でした。

「サステナブルファイナンス」とは環境課題や社会課題の解決を資金使途とするファイナンスであり、お客さまのESGやSDGsへの取組みを支援するファイナンスを含みます。

CO2排出量の推移

当行グループのCO2排出量の推移はグラフのとおりです。

過去のScope別排出

当行グループ全体の2022年度のCO2排出量(Scope1+Scope2)は、2013年度比▲19.4%となりました。

2022年度は支店網の見直しによる電力削減効果があったものの、2021年12月にオープンした本店ビル及び2022年夏季の猛暑の影響でCO2排出量は増加しました。今後は継続して節電及び省エネ設備への切替(営業車両を含む)や再生可能エネルギー調達などに取組んでいき、2030年度CO2排出量目標、2013年度比70%削減を目指します。

当行グループ CO2排出量実績

Scope3 カテゴリ15(投融資)の試算
事業性融資の排出量

投融資先を通じた間接的な温室効果ガス排出量は、金融機関におけるスコープ3(サプライチェーンにおけるCO2排出量)の中でも大きな割合を占めるため、2021年度PCAFスタンダード※1の計測手法を参考に当行の国内事業法人向け融資について試算しました。

試算概算は以下のとおりです。

※1 金融機関における投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を計測・開示する方法を開発する国際的なイニシアティブ。

■当行融資先をTCFDの14業種に分類して試算した業種別排出量

当行融資先をTCFDの14業種に分類して試算した業種別排出量

【排出量の算定方法】
融資先売上高×売上百万円当たりの排出量(業種別)×当行融資の寄与度

【時点】
融資残高:2023年3月末時点
融資先売上高等財務指標:試算を行った2023年3月末時点で当行の保有する各融資先の最新決算情報
今回はScope3カテゴリ15の計測として事業法人向け融資を試算致しましたが、今後は算定範囲を順次広げていきます。

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