連載コラム【お金の世界の歩き方】
〜最終回 コロナ禍の運用〜

花子

「新型コロナウイルスが騒がれるようになって、もう1年経ちましたよね。なんだか人生で1年間だけぽっかり空白ができたような感覚です」

先生

「本当に早いですね。振り返ると、会場でのセミナーが激減して、逆にオンラインセミナーが増えた1年でもありました」

花子

「周りの友達の中には仕事を失くした人もいれば、収入がかなり少なくなった人もいます。このような状態を目の当たりにすると、お金の知識をしっかりと身に付け、お金と上手にお付き合いをしていれば、生活もだいぶ違ったのかなと思います」

先生

「その通りだと思いますよ」

花子

「でも、今の状況を見ると株価は大きく上昇し、NYダウは最高値を更新するし、日経平均株価は3万円に乗せたということを聞くと、今からの行動でも大丈夫なのかなと不安にもなります。ですので、ここからはどのようなことに注意をしてお金と向き合えばよいのか、今日はそのあたりのアドバイスをいただけますでしょうか」

先生

「お任せください。よろしくお願いします」

花子

「よろしくお願いします」

先生

「まず、目標を考えてみましょう。よくお給料の何か月分の貯蓄があるとよいのか、という話があります。どれくらいが理想だと思いますか?」

花子

「そうですね、多ければ多いほどよいというのはわかりますが、お給料の2,3か月分は必要なのかなと思います」

先生

「たしかに、以前はお給料の2,3か月分は必要だと言われていました。でも、僕自身は今回のコロナの件でもう少し必要かな、つまりお給料の半年分は必要かなと思います」

花子

「それは休業要請とか自粛が長引いたりしたからですか?」

先生

「はい。今回のウイルスのような問題が二度と起きないとは限りません。違うウイルスが発生するかもしれません。いずれにしてもお給料の半年分を用意しておけば、あとは国のセーフティネットや対応策を利用すれば、乗り越えられるのではないかなと思います」

花子

「でも、ひと言で半年分とは言いますけど、貯めるのは大変ですよね」

先生

「はい。だからこそ、早くから始めるというのが大事になってくるかと思います。早く始めることによって『時間を味方につける』ということです」

花子

「時間を味方につける、ですか。どういう方法が考えられるのでしょうか?」

先生

「その方法をお話しする前に、今のマーケットの環境を整理してみましょう。例えば、アメリカの株式市場は大きく上昇し最高値を更新しているという状況にあります」

花子

「そういうことでしたら、日経平均株価も30年ぶりに3万円台を回復したのですよね」

先生

「そうですね。他には、何かありますか?」

花子

「低金利が続いていますよね。半年分を貯めると言っても、預金だと低金利なので時間がかかるよな、と思ってしまいます」

先生

「超低金利時代が続いている、というのも一つの情報ですね。では、こうした情報を加味して考えてみたいと思います。貯めるということを考えると、やはり『積立』ということがポイントになると思います。余ったら貯蓄する、というのでは貯まりません」

花子

「はい。それはよくわかります。余らせようと1か月努力するよりも、始めから引き落とされた方が実は無理なく貯められますよね」

先生

「その通りです。そして、預金での積立も大切ではあるのですが、現在は超低金利状態が続いています。ですから、利息を含めて増えていくというよりも、積み立てたお金、すなわち元本を減らすことなく貯めていくということになります」

花子

「着実に貯めていくというのであれば、預貯金の積立でもよいのですよね」

先生

「もちろんです。でも、もし、時間を味方につける、つまりある程度の長い期間を利用するのであれば、預金の積立でなくてもよいのです」

花子

「ということは、預金以外の積立の方法を考えた方がよいということですか?以前にも株式とか投資信託の積立を教えていただきましたよね」

先生

「はい、投資信託の積立がその一つの方法になると思います」

花子

「あっ、やっぱり投資信託の積立なのですね」

先生

「個別銘柄(特定の企業の株式等)の場合、これだけ株式相場が高い水準にあると、相場のテーマから外れたり、少しでも業績が悪くなると大きく下落する可能性があるのです。そうした情報を集めたり、分析したりするのは個人の投資家では大変です」

花子

「私もそう思います。どのような情報を集めればよいのかなども含めて私には難しいかな」

先生

「でもその点、投資信託は分散投資されていますので、マーケット全体の動きを観察しておけばよいということになります」

花子

「それは日本の株式市場は今後どのような動きをするのかなどを観察しておけばよい、ということですか」

先生

「はい、特にインデックスファンドであればそういうことになります」

花子

「そうはいっても、日本の株式市場も日経平均株価が3万円を超えたりしているのですから、今から投資をするのに勇気がいるのではありませんか?」

先生

「1つのファンドをまとまった金額で買ってその後どうなるのか、ということであればその心配はわかります。でも、積立であればこそ、マーケットがどの水準にあっても始められるのです」

花子

「そうなのですか?」

先生

「はい。投資信託の積立は『ドルコスト平均法』を活用することができます。つまり、高い時には少ししか買わない、安い時にはたくさん購入することで平均単価を低く抑えることができるのです。ですから、どのマーケットでどの水準から始めても、高くなったり安くなったりを繰り返すことで効果があるのです」

花子

「なるほど、だから今のような株価が高い水準でも積立であればスタートできるということなのですね」

先生

「そうなのです。ただ、一つ注意をしていただきたいことがあります。昨年は大きく株価が上昇したことで、積立をしていた投資信託のほとんどが大きな利益を出しています。ですので、積立を一旦やめて利益を出すということを考える投資家がいるのです」

花子

「大きな利益が出たのであれば、一度利益を出した方が得だと思いますからね」

先生

「でも、本来、高くなったり、安くなったりするからこそドルコスト平均法が功を奏し、長期間の投資が活きるということを忘れないでもらいたいと思います」

花子

「わかりました。こういう難しい状況だからこそ、価格が変動する、特に投資信託で積立をするのがよいのですね」

先生

「はい、ですから、投資信託の積立、つみたてNISAやiDeCoなどを活用するのがよいと思います。」

花子

「わかりました!」

先生

「これまで、お金についてさまざまなことを勉強してきましたね。花子さんにお伝えするのはこれが最後になりますが、今まで学んだことを活かして運用などしてみてくださいね」

花子

「今までありがとうございました。教えていただいたことを活かして、引続きお金について勉強していきたいと思います。ありがとうございました!」

時間を味方にするポイントとは・マーケットの水準を意識せず始められる・ドルコスト平均法を活用できる・積立制度(つみたてNISAやiDeCoなど)が用意されている・花子「やはり、天引きされる積立がいいのですね!」先生「お給料の半年分を目標としたいですよね」

『武蔵野 花子』プロフィール

埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。

『川口先生』プロフィール

証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。

執筆:川口一晃

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