連載コラム【お金の世界の歩き方】
〜第43回 積立のインデックスファンド〜
花子
「先生、今日もよろしくお願いします。早速ですが、教えていただきたいことがあります」
先生
「よろしくお願いします。おっ、何でしょうか?」
花子
「最近、投信積立や積立NISAなど『積立』が大事であるということは、いろいろなところから聞こえてきます。でも、積立をする際の商品は何を選べばいいのか、これは結構重要な問題ではないのかなと自分で思っているのですが、いかがでしょうか」
先生
「はい、その通りです。世の中には積立のできる商品がたくさんありますね。預貯金はもちろん、株式や金そして投資信託など、価格が変動する商品には積立が用意されています」
花子
「私は積立を投資信託で行いたいと考えているのですが、投資信託こそたくさんの種類があって何を選んでいいのやら迷ってしまいます。何かヒントをいただけると助かります」
先生
「たしかに、販売されている投資信託は種類が豊富で商品類も多いため、専門家でも全部を把握するのは不可能に近いと言っても過言ではありません」
花子
「そうなんですね。私が悩むのも無理ありませんね。どんな商品を購入したらよいか簡単に判断できる方法はありませんか?」
先生
「ここからは僕の個人的なアドバイスとなりますが、積立で投資信託を始めるならおすすめしたい商品の一つが『インデックスファンド』です」
花子
「インデックスファンドとは・・・?」
先生
「インデックスというのは、マーケットの動きを示す指数のことをいいます。例えば、株式市場の動きを示す、日経平均株価や東証株価指数などはインデックスの代表的なものです」
花子
「その2つの指数は聞いたことがあります。インデックスファンドというのは、そうした株価指数に関係するファンドなのでしょうか?」
先生
「その通りです。インデックスファンドというのは、これらのインデックスに連動するような運用を目指すファンドのことを言います」
花子
「ということは、日経平均株価のインデックスファンドというのは、日経平均株価と連動させることを目指すということですか?」
先生
「はい。そもそも日経平均株価というのは日経平均株価算出のために採用されている225銘柄の上場株式の平均株価ですので、実際に採用されている会社の株、つまり225社の株式を購入することによって、日経平均株価と同じように動くことになります。ここでは日経平均株価を例に説明しましたが、インデックスファンドはテレビのニュースやネット上で情報収集しやすく初心者でも始めやすい投資と言われています」
花子
「なるほど。初心者でも始めやすいと言う点以外でインデックスファンドのメリットはありますか?教えてください」
先生
「それでは説明していきますね。ファンドには大きく分けて2種類あります。アクティブファンドとインデックスファンド(パッシブファンド)です。アクティブファンドは運用担当者であるファンドマネージャーが売買を自分の裁量で行うことになります。このアクティブファンドでは、積極的な売買を行うことによって、株価指数よりも良い成績を収めることが目標となります」
花子
「つまり、日経平均株価の上昇率よりも、よい成績を収めることが目標になるということですね」
先生
「そうなのです。株価指数の上昇率が10%であれば10%を超える上昇率が、10%の下落率であれば10%を超えない下落率に抑えることが求められます」
花子
「なるほど、マイナスになった場合は低く抑えることができるのか、ということなのですね」
先生
「はい。そして、この2つをコストの面で比べると、インデックスファンドが低コストなのです。投資信託で資産運用する際にかかる運用コストである信託報酬がアクティブファンドよりも低くなっています。積み立てる期間が長いほど信託報酬の差が運用結果に大きく影響してきます」
花子
「それは大事ですね」
先生
「そうですね。次に、アクティブファンドの成績が長年に亘って株価指数に勝ち続けるというのは難しい、と言われていることです」
花子
「えっ、そうなのですか?」
先生
「アクティブファンドも大量の資金を保有しています。ですから、多くの銘柄に分散投資を行うことになります。証券投資論では、たった20銘柄に分散投資をするだけで、そのファンドの値動きは株価指数に近くなるというデータがあるのです」
花子
「ということは、たくさんの資金を持って分散投資をしているファンドの値動きは、結局株価指数とほぼ同じになるということなのですか?」
先生
「その通りです。であれば、平均のインデックスファンドを購入すれば良いじゃないか、という話が出てくるのです」
花子
「納得ですね」
先生
「テーマ株ファンドというのもありますが、社会が変容する中でテーマも変わっていきます。マーケットは常に新しいテーマを追い求めているところがありますので、古くなったテーマ株ファンドは注目されなくなったりもします」
花子
「ブームの浮き沈みというのは投資の世界も同じなのですね」
先生
「そして、インデックスファンドはどの金融機関にも用意されているファンドです。というのも、金融機関によって取り扱っているファンドは違います。『A社のBファンドを買いたい』と思っても、A社のBファンドを取り扱っている金融機関に口座を開いていないと購入できません。その点、インデックスファンドはA社のインデックスファンドでもC社のインデックスファンドでもほぼ値動きは同じですし、どの金融機関でも取り扱っていますので、選択する側の投資家には便利ですよね」
花子
「なるほど、インデックスファンドは株価指数と同じ値動きをするので、どこの会社のインデックスファンドでも大きな差が出にくいということなのですね」
先生
「そういうことになります。また、購入した後も、株式市場全体の動きに注意すればいいのですから、管理するのも便利だと思います」
花子
「インデックスファンドの良さがよくわかりました。ありがとうございます」
『武蔵野 花子』プロフィール
埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。
『川口先生』プロフィール
証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。