連載コラム【お金の世界の歩き方】
〜第39回 アメリカの大統領選挙〜

先生

「前回は長く続いた安倍内閣から菅内閣に交代したことから、政権とマーケットの関係についてお話をしました」

花子

「はい。お金の世界とは無縁に思えた政治の世界もマーケットに影響を与えることがある、ということを勉強させてもらいました。ということは、今回のアメリカ大統領選挙というのもマーケットには影響ありますよね」

先生

「もちろんです。金融マーケットの世界では日本の首相交代以上に注目されます」

花子

「そうですよね。アメリカの大統領が決まるんですものね」

先生

「では、今回はアメリカの大統領選挙とマーケットについてお話をしましょう」

花子

「よろしくお願いします」

先生

「まずはいくつかクイズを出したいと思います。GDPが世界一の国はどこですか?」

花子

「それはアメリカですよね」

先生

「はい、その通りです。では、世界の基軸通貨はどこの国の通貨ですか?」

花子

「やはりアメリカのドルではないでしょうか」

先生

「そうです。つまり、世界のリーダーたる国の大統領が決まるということは、それだけ経済界にとっても大きな影響を与えますので、マーケットは敏感に反応します。例えば、2016年のトランプ候補とクリントン候補で争った大統領選挙ではその結果を受けてマーケットが荒れました。大きく乱高下したのです」

花子

「そんなに動いたのですか?」

先生

「はい。株式市場も為替市場も大荒れでした。というのも、大方の予想ではクリントン候補が勝利するであろうと考えており、それを前提にお金の世界も動いていました。ところが、トランプ候補優勢の報道が強くなるにつれて、株式市場は大きく値を下げ、ドルも大きく下落、つまり為替相場もドル安円高に向かったのです」

花子

「たしかあの時は私もクリントン候補が大統領になるんだろうな、と思っていました。マスコミもそのような報道でしたよね」

先生

「その通りです。多くの人がそのような予想をしていたので、現実が違ったことに対するサプライズに反応したのです。でも、その後はトランプ大統領に対する期待感から株価は上昇。為替相場もドル高円安に向かい、まるでジェットコースターのようなマーケットでした」

花子

「そうだったのですね」

先生

「ところで、アメリカの政治は二大政党と呼ばれますが、何党と何党か知っていますか?」

花子

「はい。共和党と民主党ですよね」

先生

「そうですね。では、一般論的には共和党と民主党、どちらがマーケットに好まれるのかわかりますか?」

花子

「えっ、マーケットが好む政党があるのですか?」

先生

「はい。もちろん、その時々の直面している課題によって違いますが・・・」

花子

「どっちなのかな・・・民主党ですか?」

先生

「実は共和党なんですよ」

花子

「そうなんですね。それはどうしてですか?」

先生

「まず、共和党は、市場は市場に任すという『市場重視』の立場を取ります。ということは政府がマーケットに介入するのは最小にしよう、というものです」

花子

「なるほど。何事もそうですが、必要以上に介入されると嫌になりますものね。それは市場も同じと言う事ですね」

先生

「何でも自由放任で良いのかというと、ちょっと違うと思いますが、的は外れていないかな」

花子

「ありがとうございます」

先生

「市場に任せるのですから、政府も部署やスタッフを増やすことなく『小さな政府』で良いということになります。また、共和党は、力強さを表す象がシンボルなのです」

花子

「政党にシンボルというのがあるのですか、面白いですね!ということは、民主党にもシンボルがあるのですか?」

先生

「はい。民主党のシンボルはロバなんですよ」

花子

「へえ、ロバとは意外ですね。そして、共和党が『小さな政府』というのであれば、民主党は『大きな政府』ということになるのですか?」

先生

「はい、そうなのですが、なぜ大きな政府になるのかと言いますと、民主党は社会福祉や生活保護の充実などを掲げています」

花子

「なんとなく、福祉を充実させようとするとそれだけ政府のスタッフをはじめ関係者が増えそうなのはわかります」

先生

「オバマ前大統領は民主党に属していましたが、『オバマケア』という言葉を聞いたことがありませんか?」

花子

「中身についてあまりよくわかりませんが、聞いたことはあると思います」

先生

「これはオバマ前大統領が推進したアメリカの医療保険制度を改革する法案のことです。ね、福祉に関する改革を行っているでしょ」

花子

「本当ですね。他にはどのような特徴があるのですか?」

先生

「例えば、支持層も分かれています。共和党は富裕層および白人の支持者が多いのも特徴です。ですから、大企業寄りということも言えるでしょう」

花子

「ということは、民主党は中間層や貧しい人たちからの支持が多いのですか?」

先生

「その通りです。そして、労働者の支持も多いのが特徴です。その労働者が前回の大統領選挙でトランプ候補を支持する状況になったこともあり、前回はトランプ候補の勝利となったのです」

先生

「大統領選挙は4年ごとにありますので、今後も今日お話ししたことを踏まえ、政治の世界とマーケットを見てみるといいかもしれません。」

花子

「ありがとうございました。勉強になりました」

【先生】共和党は市場重視、民主党は福祉重視のため、マーケットは共和党の方を好む傾向があります【花子】へぇ〜、アメリカの政党はちゃんと特徴があるんですね

『武蔵野 花子』プロフィール

埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。

『川口先生』プロフィール

証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。

執筆:川口一晃

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