連載コラム【お金の世界の歩き方】
〜第34回 時代にあった貯金〜

花子

「新型コロナウイルスの影響が至る所に出ていて、コロナ終息後の新しい社会作りの話も出ていますよね」

先生

「そうですね。これからはテレワークも進むでしょうし、キャッシュレスもますます広がると思いますよ」

花子

「でも、こんな世の中になるなんて思ってもみなかったです。前回は、不測の事態にも対応できるよう、日頃から資産形成をしておくことの大切さを教えていただき、まずは生活を守っていくために預金が重要であると感じました。そこで、いったいどれくらいの預金をすれば良いか教えて頂きたいのですが、どうでしょうか?」

先生

「そうですね。今回の新型コロナウイルスの件で、いかに流動性の資金が重要であるかということがわかったと思います」

花子

「流動性というのは、確か『早く現金にできる』ということでしたよね」

先生

「はい、その通りです。現金・預金以外の資産としては不動産や株式などが挙げられますが、不動産は、資金繰りに窮した時にすぐに売却して現金化するというのは大変ですよね。また、株式市場も大きく下落したりすると予定していた金額を下回ることもあり得るし、たとえ売却したとしてもその日のうちに売却金額が手元にくるわけではありません」

花子

「えっ、株式というのは売却してもすぐに現金にすることはできないのですか?」

先生

「はい。売買の注文が成立した約定日から起算して3営業日目に受渡しが行われるのです」

花子

「ということは、すぐに現金を用意しなくてはいけないというのであれば、やっぱり預金が頼りになるということですね」

先生

「流動性を第一に考えるのであれば、そういうことになります」

花子

「ところで、具体的にはどれくらいの貯えが理想なのでしょうか?」

先生

「よく言われているのは、給与の3か月分です。月々の給与が30万円であれば90万円の預金があると良いと言われています」

花子

「3か月分ですか。貯まりそうでなかなか貯めるのが大変な額ですよね」

先生

「そうですね。しかも、今回の新型コロナウイルスの影響や緊急事態宣言などの期間を考えると3か月だと少ないかもしれません」

花子

「えっ、3か月でも少ないのですか?」

先生

「今回のいわゆる“自粛“を考えてみると、2月末ぐらいから自粛ムードが広がり、5月末に緊急事態宣言は解除されました。でも、すぐに日常に戻るわけではありませんよね。そういうことを考慮すると年収の半分、つまりお給料の半年分の金額を出来たら貯めたいですよね」

花子

「半年分というのは、結構な金額ですよ」

先生

「でも、預金というのは目標金額や達成の期間を明確にすることによって、実現する可能性は高くなります。例えば、お給料が30万円であれば、毎月のお給料の10%にあたる3万円を60か月、つまり5年間貯めることで達成できます」

花子

「たしかに、机上の計算ではそうなることがわかりますけど、現実には10%は厳しいのかなと思います」

先生

「具体的な数字を示しておきますね。総務省の家計調査によると、2019年のデータで二人以上の世帯のうち勤労者世帯の1世帯当たり貯蓄高の平均値は1,376万円です。
預金の金額の話になると、よく『平均値』、『中央値』という言葉が登場します。平均値というのはデータを足し合わせてデータの個数で割った値を指すので、富裕層の大きな金額が値に影響を与えてしまいます」

花子

「そうですね。『中央値』というのはどういう値ですか?」

先生

「中央値というのはデータの大きい順に並べてちょうど真ん中に位置する値を指します。極端な数字の影響を受けにくいので、預金の金額を考える時には便利です。
それによると確かに花子さんの家庭のように子供のいる家庭の貯蓄額の中央値は平均値の半分近くまで下がることがわかっています。先程、平均値は1,376万円でしたが、中央値になると801万円になります。もちろん、若い世代になるとこの数値はもっと下がっていきます」

花子

「そんなに数字が違うのですね。でも皆さん、貯めていますね・・・」

先生

「強い意思を持って管理すれば可能です!まずは以前紹介した、『家計簿アプリ』を利用したり、天引きによる積み立てなどをしましょう。
そして、今回の新型コロナウイルスの影響で生活が少し変わりましたよね。コロナウイルスがすぐに無くなるわけではありませんし、ワクチンや治療薬が出来るまではコロナウイルスとも長い付き合いになると言われています。つまり、新しい生活が求められています。そうした中で、この自粛期間中の消費傾向を分析してみてください」

花子

「そう言われると、食費は普段の月よりも出費が多くなっていますが、娯楽や外食費などは低く抑えられていました。しかも、新型コロナウイルスの影響が心配で無駄遣いをしないようにしていたので、全体的には出費が抑えられています」

先生

「ですよね。僕もカードの請求書を見て、通常の月よりも請求額が少なく笑顔になりました。ですから、自粛期間中の生活に慣らしたままお給料の10%の預金を出来る習慣付けをしてみてはいかがですか?」

花子

「なるほど、自粛が解除されたからと言ってすべてがすぐに元に戻るわけではありませんし、自粛期間の生活をベースに考えれば、家計の見直しも出来そうです。頑張ってみます」

流動性の資金として、お給料の3ヶ月分ではなく半年分を用意する時代になったのかもしれませんね。自粛中の生活などを通じて家計を見直し、まずは毎月お給料の10%貯蓄を目指します!

『武蔵野 花子』プロフィール

埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。

『川口先生』プロフィール

証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。

執筆:川口一晃

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