連載コラム【お金の世界の歩き方】〜第27回 リスクとは何?〜

花子

「実は先日、銀行に行って金融商品のパンフレットをもらってきたのですが、その中に『投資信託はリスクがあります』という表現がありました。家に帰って、主人と資産運用の話をした時に『リスクがあるというのは気になるし、投資は危ないから気が進まないなぁ』と言われてしまいました。リスクがあるというのは、やはり注意をした方が良いのでしょうか?」

先生

「良い質問ですね。多くの人は『リスク』という言葉を聞くと、ちょっと身構えてしまうかもしれません」

花子

「はい、うちの主人も相当身構えていました」

先生

「そうですよね。でも、実は金融の世界における『リスク』という言葉は皆さんが思っているほど、マイナスのイメージを持った言葉ではないのです。わかりやすく説明したいと思います」

花子

「そうなのですね。よろしくお願いします」

先生

「花子さんは中学生の頃、英語の授業で『risk』という言葉が出てきたら、どのように訳していましたか?」

花子

「『危険』と訳していました」

先生

「では、『danger』はどう訳していましたか?」

花子

「riskと同じように『危険』と訳していたはずです」

先生

「ですよね。試験などでは『risk』も『danger』も同じように『危険』と訳していたと思います。でも、金融の世界になると、事情が変わってきます。『risk』の意味は私たちが通常使っている危険という意味ではありません」

花子

「ということは、『投資信託はリスクがあります』というのは、『投資信託は危険ですよ』ということではないのですね」

先生

「その通りです」

花子

「では、『リスク』という言葉はどのような意味で使われているのですか?」

先生

「簡単な言葉で表現すると『不確実な状態の度合い』を意味します。例えば、入学試験を思い出してください。通常であれば、第1志望、第2志望そしてすべり止めという感じで受験しませんでしたか?」

花子

「まさしく私の受験はその通りでした」

先生

「第1志望というのは、自分の実力と同等ないしは実力よりも少し上の学校ですよね。第2志望であれば、今の実力であれば合格するであろう学校。そして、すべり止めの学校というのは、余程のことがない限り落ちることのない学校、というイメージですよね」

花子

「はい、そうですね」

先生

「でも、入学試験というのは何が起こるかわかりません。全部合格するかもしれないし、場合によっては全部不合格になる可能性もある。結果はわかりませんよね。つまり『不確実な状態』です」

花子

「そうですね。その日の体調にも左右されるし、出題された問題にもよります」

先生

「つまり、『不確実な状態』という意味から、入学試験は『リスクがある』と言えるでしょうが、入学試験は危険だという表現にはなりませんよね?」

花子

「確かに、入学試験にはリスクが潜むと言われたら『なるほど』とは思いますが、入学試験は危険だと言われたら首をかしげてしまいます」

先生

「ですよね。結果がわからない、不確実の状態が強いのであればリスクが高い、逆に不確実の状態が弱く実現性が高いのであればリスクは低いと考えます。ということは・・・」

花子

「第1志望の学校はリスクが高く、すべり止めの学校はリスクが低いと考えるということですね!」

先生

「そういうことになります。
では、それを金融に置き換えて考えてみましょう。預金というのは預ける時に金利が表示されていますよね?」

花子

「はい、銀行に行くと窓口などに表が出ています」

先生

「例えば、普通預金で金利が0.001%とします。低金利時代で利息は少ないですが、100万円預けたら1年後にもらえる利息はいくらになりますか?」

花子

「ちょっと待ってください・・・計算します・・・10円です」

先生

「ですよね。これは金利水準の変更がない限り、預ける段階で結果はわかっています」

花子

「そうですね。不確実ではありませんね」

先生

「はい。ですので、リスクは限りなく低い金融商品といえます。では、債券を考えてみましょう。債券というのは何かわかりますか?」

花子

「はい。国や企業がお金を借り入れるために発行するものですよね」

先生

「その通りです。国が発行するものを国債、民間企業が発行するものを社債と言います。債券にもそれぞれ利率があります。でも、債券はその国や企業が破綻する可能性もゼロではありません。ということは、ちゃんと利息を払ってもらえる確率や元本が戻ってくる確率は先ほどの預貯金に比べるとどうなると思いますか?」

花子

「不確実さが増したような印象を受けます」

先生

「ということは、リスクは・・・」

花子

「リスクは高いということになるのですね」

先生

「はい、預金に比べるとリスクは高いと言えるでしょう。では、株式について考えてみましょう。Aという会社の株を購入した場合、その後の株価の動きについてはどうでしょうか?」

花子

「えっ、株式ですか。それは上がるかもしれないし、下がるかもしれません」

先生

「その通りですよね。上昇するのが分かっていたのであれば、皆、買いますからね。花子さんが言う通り株価については上がるかもしれないし、下がるかもしれません」

花子

「これはもう、かなりの不確実さですね。ということは、このような状態をリスクが高いというのですね」

先生

「そうです。株式はリスクの高い金融商品という表現になるのです」

花子

「わかりました。投資信託はそうした株式や債券などを含んでいる金融商品だから、『リスクがある』という表現になるのですね」

先生

「はい。そういうことなのです。では、次回はもう少し、リスクの中身を見ていきたいと思います」

花子

「よろしくお願いします。今日もありがとうございました」

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リスクとは危険という意味ではなく、不確実な状態の度合い

『武蔵野 花子』プロフィール

埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。

『川口先生』プロフィール

証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。

執筆:川口一晃

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