連載コラム【お金の世界の歩き方】〜第26回 住宅ローンの借入額と金利タイプ〜
花子
「前回住宅購入の話をしていただき、気になることが増えてきました。今日もいろいろ教えてください」
先生
「もちろんです」
花子
「ありがとうございます!今日は、うちはいくらくらいまで住宅ローンが組めるのか知りたいと思っています。目安などはあるのでしょうか?」
先生
「そうですね。借入金額は、1年間の返済額が年収の20〜25%以内となるようにするのが、無理のない範囲といわれています」
花子
「主人の年収はだいたい500万円くらいなのですが・・・」
先生
「では、年収500万円で計算してみましょう。35年の住宅ローンで利率は1.2%の固定とします。借入額を3,500万円とすると、月々の支払いが約102,000円となります。
借入額は年収の7倍、年間返済額は102,000円×12ヶ月=1,224,000円となり、年収に対する割合は1,224,000円÷500万円×100=24.4%となります。
このくらいだとどうですか?」
花子
「うーん、急な出費があるとちょっと厳しいかもしれません・・・」
先生
「では借入額を3,000万円にしてみましょう。年収の6倍となり、月々の支払いは約87,500円となります。年間返済額は87,500円×12ヶ月=1,050,000円となり、年収に対する割合は1,050,000円÷500万円×100=21%となります」
花子
「これぐらいの水準なら生活に余裕がなくなってしまう事態にはなりにくいのかなと思います」
先生
「そうですね。ただ、ローンを組むときの年齢などによっても違いが出てくるのは忘れないでくださいね。また、マンションの場合、これに管理費や修繕積立金などが加わります」
花子
「わかりました。ところで、住宅ローンにはどんな種類があるのですか?」
先生
「ローンの種類は大きく分けると2つのタイプがあります。まずは変動金利型です。ローンの返済期間中に世の中の金利水準が変動した場合、金利の見直しなどが入るローンです。金利は低く設定されている点が特徴ですが、金利が上昇すると返済額が増えてしまうというリスクがあります」
花子
「たしか、日本はマイナス金利を導入しているので、金利も上がりにくいのですよね」
先生
「でも、マイナス金利の状態というのは正常な状態とは言い難いのです。ですから、どこかで金利の低下も止まる可能性はあるということを覚えておいてください」
花子
「なるほど。覚えておきます!」
先生
「さて、2つ目は固定期間選択型です。指定の期間は固定金利で、残りの期間を変動金利とするタイプです。期間中は計画的に返済ができますが、固定期間終了後に金利が大きく上昇してしまう可能性があります」
花子
「それは、たとえば10年間は固定金利でその後は変動金利になったりするということですか?」
先生
「その通りです。ただし、10年経過後にまた固定金利を選ぶこともできます」
花子
「金利が固定された方が返済額が毎月同じなので計画は立てやすくなりますね」
花子
「ところで、変動金利とか固定金利という話が出てきましたが、どちらがお勧めなのですか?」
先生
「僕の個人的意見を先に言えば 固定金利です。固定金利というのは、ローンの期間中、はじめに決まった金利が続くことになります。ですので、支払う金額が決まる分、家計の管理もしやすくなりますよね」
花子
「はい、家計をあずかる主婦としては計算できるので助かります」
先生
「デメリットと言えば、一般的に変動金利よりも金利水準は高く、期間中に世の中の金利が低くなっても固定金利はそのままなので、金利低下の恩恵を受けることはできないということです」
花子
「自分たちがローンを組んだ後に金利が下がったらショックですね」
先生
「でも、今の日本はマイナス金利で史上最低金利の水準に近いであろうということ、そして、将来、住宅ローンの金利がもっと下がったのであれば、ローンの借り換えをすればよいのですから、僕は固定金利派です」
花子
「そういう理由があるのですね」
先生
「変動金利は世の中の金利が変わると半年に1度の頻度で見直しが行われます。ただ、固定金利の金利よりも低く設定されますので、魅力的ではあります。世の中の金利が低下していくのであれば恩恵を受けることができますが、金利が上昇に転じると返済額も増えてしまうというリスクがあります」
花子
「住宅ローンは長期で返済するので、先々まで考えないとダメですよね」
先生
「その通りです。実際に住宅ローンを組む際には最寄りの金融機関によく相談することをお勧めします」
花子
「今日も大変勉強になりました。ありがとうございます」
『武蔵野 花子』プロフィール
埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。
『川口先生』プロフィール
証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。