連載コラム【お金の世界の歩き方】〜第20回 年金の基礎 〜国民年金〜〜
花子
「最近、ママ友の間で老後の生活が話題になりました。皆さん、今のうちからの準備が必要だとは感じていましたが、まだまだ先のことで、受け止め方に温度差がありましたね」
先生
「老後の生活はまだ先のことですから、想像しにくいですよね。定年後の生活費のもとになるのは、年金が中心となりますが、不足分については、預貯金等の金融資産の取り崩しにより、補っているのが実態なので、早めの準備が必要となるのです」
花子
「ところで年金についてですが、実はお恥ずかしい話ながら、よくその制度を理解できていません・・・。そこで、今日は年金制度を教えていただけませんか?」
先生
「はい。それでは、今日は年金制度について簡単に説明しましょう」
花子
「よろしくお願いします」
先生
「まず、日本の年金制度は3階建てになっている、と言われています」
花子
「3階建てですか。どういうことでしょうか?」
先生
「1階部分は国民の誰もが加入することになっている国民年金です」
花子
「それは主婦の私も入っているのですよね」
先生
「もちろんです。その辺は後ほど解説しますね。そして、2階部分には企業などのサラリーマンが加入する厚生年金があります。花子さんのご主人もこの2階建て部分までの年金には加入しています。この1階部分と2階部分は合わせて『公的年金』と言って、国が社会保障として一括して運営しているのです」
花子
「そうなのですね。そうなると3階部分は何ですか?」
先生
「これはこの公的年金部分の上乗せを民間の企業等が行う部分です。企業を例にとると、企業年金などがあたります」
花子
「そうなんですね」
先生
「では、まず1階部分について説明したいと思います」
花子
「国民年金の部分ですね」
先生
「はい。まず、国民年金は日本の国民全員の加入が義務付けられています。20歳以上60歳未満の方は保険料の支払い義務があるのです。因みに、2018年度の保険料は月々16,340円、2019年度は月々16,410円となります」
花子
「結構な金額を払っているんですね。いくつか質問していいですか?」
先生
「もちろんです」
花子
「20歳ということは、学生も払うことになるのですか?私の記憶では、自分は払っていなかったのではないかなと思うのですが・・・」
先生
「大学生などには在学中は保険料の支払いの猶予が認められる『学生納付特例制度』というものがあるのです」
花子
「そうなんですね。ひょっとしたら、親が申請の手続きをしてくれていたのでしょうか」
先生
「おそらく、そうだと思います」
花子
「もう一つ質問があります。私は今でも月々保険料を払っていないと思うのですが、大丈夫なのでしょうか?」
先生
「それは大丈夫です。国民年金は、その対象者を「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3種類に区分しています。「第1号被保険者」は自営業者や学生などが対象となります。また、「第2号被保険者」はサラリーマンなど厚生年金保険法の適用をうける事業所に勤務する方、「第3号被保険者」は第2号被保険者の配偶者となります。第3号被保険者の国民年金保険料は配偶者が加入する年金制度が一括負担しますので、「第3号被保険者」に該当する専業主婦の場合、本人が保険料を納めなくても納付した扱いになるのです」
花子
「そうだったんですね」
先生
「ただし、「第3号保険者」の中にはアルバイトやパートに出ている人もいますよね。その場合は、年間の所得が130万円未満でなくては対象となりませんので、注意が必要です」
花子
「その金額は聞いたことあります。このことを言っていたんですね。ところで、国民年金はいつからいくらぐらいもらえるのですか?」
先生
「国民年金は65歳から受け取ることが出来ますが、希望をすれば60歳からでも受け取れます。ただし、受給金額は減額されてしまいます。また、年金の受給金額ですが、2018年度では満額だと年間77万9,300円を受け取ることが出来ます」
花子
「これが1階部分で受け取れる金額なのですね」
先生
「そうです。ただし、満額ですからね。つまり20歳から40年間加入して保険料を支払った場合です。40年間よりも短いと満額よりも少ない金額となります」
先生
「また、国民年金を受け取る資格期間(払込必要期間)というのがあり、これに満たないと、年金は支給されません。以前は25年以上だったのですが、2017年に改正されて10年に短縮されました」
花子
「そうなのですね。勉強になりました。今度、2階以上の部分についても教えていただけますか?」
先生
「もちろんです。年金制度は複雑な手続きもあり、わからないことも多いと思います。具体的な内容については、銀行の年金相談会なども利用されると良いと思います」
『武蔵野 花子』プロフィール
埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。
『川口先生』プロフィール
証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。