連載コラム【お金の世界の歩き方】〜第19回 老後の資金〜

花子

「今日はちょっと相談があります」

先生

「はい、何でしょうか」

花子

「実は私の父が今年65歳になるのですが、雇用延長で働いていた会社を退職して、いよいよ母との老後の生活に入る予定なんです。ただ、いざその時期が近づいてくると不安が募るらしく、ちょっと悩んでいるようで・・・。ですから、今回は老後の生活について話をお聞きしたいのです」

先生

「わかります。僕も他人事ではないですからね」

花子

「でも、先生が老後の生活に入るまでには、まだまだ時間がありますよね?」

先生

「いやいや、アッという間ですよ。
さて、まずは平均余命の話をしましょう。花子さんは平均余命というのをご存知ですか?」

花子

「平均寿命ではなく、平均余命ですか?初めて聞きます。どういう意味でしょうか?」

先生

「平均寿命というのは、0歳児からすべての年齢を含めた全体の平均です。それに対して平均余命というのは、例えば60歳であれば、60歳の人が60歳から平均でどれくらい生きているのか、という値です」

花子

「なるほど、わかりました」

先生

「2017年の厚生労働省のデータによりますと、男性65歳の平均余命は19.57年となっています」

花子

「ということは、平均で84歳ぐらいまで生きるということになるのですね。因みに、母は60歳なのですが、60歳の女性の平均余命はどれくらいですか?」

先生

「女性60歳ですと、28.97年ですね」

花子

「うわぁ、ほぼ90歳!長生きなんですね。人生100年に近づいているんだな、とこういう数字を見ると実感します」

先生

「そうですね。ですが、もう一つ気を付けていただきたいものがあります」

花子

「何でしょうか」

先生

「それは、健康寿命です」

花子

「健康寿命・・・。健康でいられる年齢ということですか?」

先生

「はい。介護を受けたり寝たきりにならずに日常生活を送れる期間のことです」

花子

「それってすごく重要ですよね。いったい何歳ぐらいまで健康でいられるんでしょうか?」

先生

「2016年の厚生労働省のデータによりますと、男性72.14歳、女性74.79歳なのだそうです」

花子

「えっ、70歳代の前半とは意外でした。先ほどの平均余命からすると、60歳の男性で平均84歳、65歳の女性で平均90歳ぐらいまで生きることになるので、男女とも10年以上は介護等が必要になってくるということになりますよね。そうすると、老後の生活というのは、趣味や旅行などを楽しむことの出来る前半と、医療費等がかかる後半に分けられるような気がします」

先生

「花子さんは良い所に気が付きましたね。年を取るというのは、ただ単に年月が過ぎ去っていくだけではありませんので、準備や心構えなどが必要になります」

花子

「ところで、肝心の老後の生活費というのはどれくらい必要になってくるのですか?」

先生

「そうでしたね。ちょうど花子さんのご両親のように、夫65歳、妻60歳で計算をしてみます」

花子

「お願いします」

先生

「まず、夫婦二人でギリギリの生活が1ヶ月およそ24万円、余裕のある生活でおよそ37万円と言われています。今回は、あいだをとって、ひと月30万円で計算してみることにしましょう」

花子

「私が想像していた金額よりも多いです」

先生

「結構かかりますよね。まず、先ほどの平均余命によると男性は65歳から19.57年生きることになりますから、計算しやすい20年にしましょう。つまり、夫婦二人で20年間過ごすことになります。ひと月30万円だと1年間で、30万円×12=360万円となり、それが20年ですので360万円×20=7,200万円となります」

花子

「えっ、いや、あの、ひと月30万円で・・・7,200万円・・・たしかに、そうなりますね。あらためて凄い金額になりますね」

先生

「はい。妻は夫が亡くなってから約10年間は一人となり生活するとします」

花子

「そうすると、ひと月15万円ぐらいになるのですか?」

先生

「実はそうはいかないのです。なぜなら、電気代などの光熱費や固定資産税などのように、夫婦二人の時も一人になってからも同じようにかかる経費があるので、単純に半分にはならないからです。だいたい夫婦二人の生活費の7割ぐらいとなるので、今回は30万円の7割で約20万円としましょう」

花子

「同じようにかかるものもありますね。納得です」

先生

「ひと月20万円だと1年間で、20万円×12=240万円、10年間で240万円×10=2,400万円です。先ほどの金額と合計すると9,600万円ですね。この計算から、老後の生活には約1億円かかると言われているのです」

花子

「い、1億円ですか・・・いやぁ、ビックリです。そんな金額、私の両親は持っていませんよ」

先生

「1億円を用意する必要はありません」

先生

「まず、もらえるお金があります。それが、退職金や年金です。そうしたもらえる金額を差し引きすると、足りないお金は2,000万円前後と言われています」

花子

「それでも結構必要になるのですね。しかも、退職金が少ない会社や退職金がない会社、また自営業などで国民年金だけの人だともっと必要になりませんか?」

先生

「花子さん、鋭いですね。仰る通り、人によってもらえる金額も違いますから、足りなくなるお金も違ってきます」

花子

「なるほど、自分たちの場合はどうなのかをちゃんと考えないとダメですね・・・」

先生

「その通りです。例えば年金については、どのようにもらうのかやいくらもらえるのか等、銀行の年金相談会を活用してみるのもいいですよ」

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先生

「花子さんのお父さんはもう退職されますが、例えば50歳代の人であれば、子供が独立したりして家計に余裕が出来る年齢ですので、しっかりと資産運用を考えて準備をした方が良いでしょう。また、若い人も今のうちから、生活の負担にならない範囲で積立商品などを中心に少しずつでも準備をすべきだと思います」

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花子

「我が家でももう一度、見直してみたいと思います。それでも、お金の足りない夫婦というのも世の中には大勢いると思うのですが、そういう方はどうすればいいのでしょうか?」

先生

「例えば、『リバースモーゲージ』という制度を利用するのも一つの方法です」

花子

「それは何ですか?」

先生

「これは自分が住んでいる家を利用するもので、自分の家を担保にお金を借ります。そして、夫婦ともに亡くなった時に家を処分して返済に充てるのです。しかも、生きている間は自分の家に住み続けることができます」

花子

「それは良いですね。家に住み続けながらお金を借りることが出来るのですね」

先生

「ただし、このリバースモーゲージにも条件がいろいろとありますので、一度調べてみたり、銀行の窓口で聞いてみると良いと思います」

花子

「老後の生活というのは『大変だろうな』とは思っていましたが、かかるお金を知ってびっくりしました。でも、早めの準備や自分に合った方法を考える必要があることがわかりました」

先生

「そうですね」

花子

「今日もためになる話をありがとうございました」

『武蔵野 花子』プロフィール

埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。

『川口先生』プロフィール

証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。

執筆:川口一晃

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