マイホーム おトクな制度 大集合

増税まで、あと1年 どうする? マイホーム

押し寄せる10%への不安

最近、マイホーム購入に関する話題が盛り上がりを見せ始めています。2017年4月から、いよいよ消費税率が10%に引き上がるせいでしょうか。たった2%とはいえ、家計に及ぼす影響は見過ごせません。政府では、増税とあわせて食料品の軽減税率導入を決めましたが、それでも負担増への心配は尽きないでしょう。

その影響を最も受けそうなのがマイホームです。なにせ人生最大級の買い物ですから、購入金額は軽く1,000万円を超えてしまいます。土地にはもともと消費税がかかりませんが、仮に現在の新築建物価格が1,080万円であれば、増税後は1,100万円です。20万円の負担増だけでも大変なのに、引っ越しに伴う家電製品や家具の購入にも新しい税率が適用されるわけですから、「今のうちに」との気持ちが強くなるのもうなずけます。

実際、増税のインパクトは大きく、これまでの3%→5%→8%のタイミングでは、増税前の購入ラッシュと増税後の買い控えが起きました(右のグラフ)。マイホームの場合、増税の半年前までに契約すれば、たとえ引き渡しが増税後でも、現行の8%の税率が適用されます。足元の住宅ローン金利が超低空飛行の真っただ中であることも考えると、これから半年間はマイホームの購入を真剣に検討する家庭が増えそうです。

意外と盲点

でも、ちょっと待ってください。これから何十年と住む一生モノのマイホーム、コスト増は確かに頭の痛い問題ですが、それだけで購入の可否を決めるのはさすがに早計です。これだけの大がかりな出費ですから、ご家庭のライフプランや貯蓄の状況、住宅ローン金利の動向など、様ざまな観点での検討が欠かせません。

さらに意外と盲点なのが、国や自治体が提供するマイホーム関連の各種支援制度です。たとえば、省エネ住宅を購入した場合に適用される軽減税率や、住宅取得者の収入に応じて補助金を支払うしくみなど、私たちのマイホーム購入を後押ししてくれる制度は多岐にわたります。せっかく国などが用意してくれたしくみですから、有意義に使わないともったいないですよね。

そこで今回は、マイホームにかかるおトクな制度を一挙ご紹介します。みなさんご存じの住宅ローン控除(住宅ローン減税)から、いま話題の住宅資金贈与特例まで、この機会に一気にチェックしてみてください!

まずは!最大10年間おトクに「住宅ローン控除」

支払った税金が戻ります

マイホームに関わるおトクな制度の中でも、最も有名なのは「住宅ローン控除」でしょう。各年末における住宅ローン残高の1%相当額が、最長10年にわたって所得税や一部住民税から控除されるうれしいしくみです。すでに支払った税金(会社員の場合は源泉徴収額)から還付されるので、減税のメリットをダイレクトに受けることができます。

この住宅ローン控除は、住宅ローン利用者の金銭的な負担を和らげる制度として長年続いていますが、その時々によって税金から差し引ける「最大控除額」が見直されています。現在は、消費税8%導入時に引き上げられた水準(一般住宅の場合は1年間で最大40万円、長期優良住宅は同50万円)が続いており、2019年6月末までの入居に適用されます。

毎年必ず「40万円」ではありません

控除の要件は細かく決まっていますが、実際には住宅ローン利用者の多くが、一般住宅、長期優良住宅のどちらかの要件を満たすことができます。会社員なら、入居した年の翌年に確定申告すれば、2年目以降は年末調整だけで手続きが済みますし、所得税から控除しきれなかった部分は、翌年の住民税から差し引いてくれます。

右の2つの図表はメリットの試算例ですが、一般には10年間の合計で100万〜200万円台の減税効果を期待することができそうです。これだけ多くの税金が戻ってくる制度は他にはありませんから、家計への効果も絶大です。

ただこの控除額については、もう少し理解を深めておきましょう。先ほど見た通り、住宅ローン控除は支払った税金が戻るしくみなので、ご自身が納めた税額以上にお金が返ってくることはありません。最大控除額の印象が強いせいか、「毎年必ず40万円戻ってくる」などと勘違いしている人も多いので、ここはよく確認しておきましょう。

またこれとあわせて、住宅ローンの残り期間にも注意が必要です。たとえば、期間短縮型の繰り上げ返済を積極的に進めた結果、ローンの残り期間が10年を切ってしまうと、控除期間の途中でも打ち切られてしまいます(これもご存じない方が結構います!)。

ローン利用者の中には、必要以上に家計を切り詰めて繰り上げ返済を続ける人が少なくありませんが、この場合、控除がなくなることで家計がさらに厳しくなる可能性もあります。両者双方のメリットを生かせるよう、定期的にシミュレーションすることが大切です。

次は!現金がもらえる「すまい給付金」

収入の少ない人ほど多くもらえます

マイホームの購入を後押ししてくれるのは、控除≠セけではありません。マイホームの購入者に対して、なんと国が現金をプレゼントしてくれる制度も用意されています。それが、こちらの「すまい給付金」です。

すまい給付金は、2019年12月までの住宅取得者を対象に、最大30万円の現金を支給してくれるしくみです。増税後の負担増を見越して、購入時に10%の消費税率がかかった住宅取得者からは、支給額が最大50万円までアップします。

住宅ローン控除は、納税額が多い人ほど減税メリットを受けられるしくみですが、すまい給付金はそれを補完する制度のため、納税額の少ない人、つまり収入の少ない人ほど多くの現金をもらうことができます。

では、要件を具体的に見ていきましょう。支給の判定は、世帯ごとではなく個人単位で行い、各人の都道府県税の所得割額と住宅の持ち分割合で支給額が決まります。たとえば夫婦2人が持ち分を共有している場合は、まず夫・妻それぞれの納税額が支給要件に該当するかを確認し、それを満たしていれば「給付基礎額」が決定します。そして、この基礎額に持ち分割合を乗じて出た金額が給付金として支払われるしくみです。

所得割額は、お住まいの自治体が発行する課税証明書で確認できますが、すまい給付金のホームページに搭載のシミュレーション機能を使えば、ご自身の年収などから手軽に支給額がわかります。さらにお手元に源泉徴収票を用意すれば、住宅ローン控除の減税効果を加えた詳しい試算も可能です。

ただ給付金は、条件に合えば自動的に支給されるわけではなく、持ち分保有者それぞれが給付金事務局へ申請する必要があります。また申請期間もちゃんと決まっていて、入居後「1年以内」(当面は1年3ヵ月以内に延長)が条件です。申請が済めば、遅くとも2ヵ月以内に給付金が支給されます。

数十万円もの現金を一度にもらえるチャンスはめったにありません。もらい忘れのないよう、しっかりおトクをゲットしてください。

まだまだ!購入前も購入後もチェック「軽減税率」

1つひとつは小粒でも…

マイホームには様ざまな税金がかかりますが、その多くには税の軽減措置が設けられています。1つひとつの効果は小粒でも、住宅取得時や保有時にかかるコストを和らげてくれる、ちょっぴりうれしい制度がいっぱいです。

主な措置を、下の図表にまとめました。ここで紹介するのは、マイホーム取得時にかかる「登録免許税」と「不動産取得税」、保有時にかかる「固定資産税」です。これら3つの税金は一部を除き、固定資産税評価額に乗じて計算される税率が軽くなります。

まず、土地を買ったりマイホームを建てた場合、その権利関係を明らかにする登記手続きが必要ですが、この登記にかかる税金が登録免許税です。一定の要件を満たすと、所有権の保存登記や移転登記などを行う際の税率が軽くなります。

不動産取得税は、土地や建物を取得した時に支払う都道府県税です。基本的には、本来の税率が4分の3に軽減されるしくみですが、一定の要件を満たす新築住宅は、最大1,200万円(長期優良住宅は同1,300万円)の控除が適用されます。3つ目の固定資産税は、毎年1月1日時点で、土地や建物を所有している人に課せられる市町村税です。とくに新築住宅については、一定期間、税率が半分まで引き下げられる措置が設けられています。

こうしたメリットは、半ば恒久化されてはいますが、それぞれに適用期間が設けられています。その期間終了後は、税率や適用条件が変更される可能性がありますので、時々の制度をよく確認することが大切です。

なおここでは触れていませんが、不動産売買契約を結んだ時にかかる印紙税や、土地・建物の所有者に課せられる都市計画税にも優遇措置があります。

もう一丁!相続・贈与の大改正で注目「住宅資金贈与特例」

最大3,000万円まで非課税に

ここでは少し視点を変えて、マイホーム購入前のおトクな制度を見ていきましょう。

マイホームを取得するには、数千万円クラスの費用がかかります。でもそのお金をそっくり住宅ローンで賄うとなると、その後の返済が大変ですし、そもそも自己資金が少なければ、ローンすら組めない可能性も出てきます。

そこで、頼れるご両親から資金援助を受けて、マイホームの頭金に充当したいと考えている人も多いでしょう。そんな時に知っておきたいのが、「住宅資金贈与の非課税特例」です。これは、祖父母や親からまとまった住宅取得資金を譲り受けても、一定額まで贈与税がかからない制度で、2019年6月までの住宅契約に適用されます。

その一方、お金をあげる親世代にとっても、この特例は今大注目の制度です。ご存じの人も多いと思いますが、2015年1月に相続税と贈与税の大改正が行われ、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられました。そこで、相続財産を効率よく圧縮できる生前贈与の方法として、シニアの間で関心が高まっています。

では、気になる非課税枠はどれくらいでしょうか?現在は一般の住宅で700万円、長期優良住宅なら1,200万円です。これがなんと、消費増税の半年前から2,500万円、3,000万円にそれぞれ大幅に拡大されます(その後は、段階的に縮小)。かりに、この特例を使わずに1,000万円を贈与したとすると、177万円もの贈与税が子どもにかかりますから、特例のメリットは大きいでしょう。

ただその使い方には、ちょっと注意が必要です。まずこの特例が適用されるのは、マイホームの取得資金のみで、家具の購入代金や引っ越し費用などに充てることはできません。また、贈与と入居の時期も細かく決まっていて、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、@譲り受けた資金の全額を使って、マイホームを建築あるいは取得すること A同日までに新居に住み始めるか、その後、速やかに居住することが確実なこと―なども条件となります。

そのため、いざマイホームを取得した後に贈与を受けても、特例を利用することはできませんし、住宅ローンの返済資金として使うこともできません。この辺は、親子ともマイホームの検討段階から、ぜひ知っておきたいポイントです。

やさしい住まいはおトク度アップ

ここまで見てきた様ざまな制度は、すべて国や自治体の政策と結びついています。その目的は大きく、@マイホームの取得支援 A環境にやさしい住まいの普及 B若い世代への資産移転の促進―にわかれますが、優遇のメリットを考える際、注目したいのは、「環境にやさしい住まい」です。

もう一度、各種制度の適用要件を確認してください。その多くに「長期優良住宅」の記載があったかと思います。この長期優良住宅とは、2009年にスタートした住宅に関する認定制度で、耐震性や省エネルギー性、バリアフリーなどの性能基準を満たし、かつ長期にわたって住み続けられる住宅に適用されます。制度開始からの認定件数は延べ64万3千戸(2015年9月末時点)で、最近は1ヵ月に約7千〜9千戸のペースで増え続けています。

認定を受けるには、住宅の性能審査や申請手数料で数万円程度かかるほか、基準を満たすための建築費用も上乗せして考える必要があります。ただそれでも、長い期間安心して生活できる住まいが手に入るうえ、同時に多くの優遇措置も受けられるわけですから、検討の価値は大いにありそうです。

これ以外にも、各自治体を中心に住宅の品質や性能の向上を後押ししてくれる制度が数多く用意されています。下の囲みはその一例ですが、お近くの自治体でも取り扱っているかどうか確認してみましょう。ちなみに、補助金型の優遇制度は予算化されており、それを使い切ると期間中でも終了してしまいます。各団体では、ホームページなどでその利用状況を公表しているところも多いので、利用の際はご注意ください。

マイホームの購入は、人生の一大イベントです。今回は住宅にかかわる公的サポートに絞って紹介しましたが、もちろんこれ以外にもマイホーム購入の可否を決める検討材料はたくさんあります。では、住宅購入を検討する際に押さえておくべきポイントはどこにあるのか。下に紹介したFP佐藤さんのアドバイスも参考に、有意義なマイホーム購入を考えてみてください。

FPに聞きました 佐藤 陽さん

さとう よう

FPオフィス ケルン代表

2012年にFPとして独立。長年、大手ハウスメーカーに勤めた経験を生かし、住宅取得相談や住宅ローン相談を中心に活動中。現在、当誌で「マイホーム購入日記」を連載中

おトクな制度の活用とマイホーム購入のポイント

マイホームの支援制度を有意義に活用するためには、制度の存在を知ることが大切です。とくに、自治体が提供する公的サポートは、制度内容や補助金額にバラツキがあるうえ、独自に魅力的なしくみを用意しているところも少なくありません。こうした情報は、ハウスメーカーに任せきりではなく、ご自身みずから積極的に調べたり、メーカーと一緒になって確認する気持ちが大切です。またその際には、自治体の窓口に適用要件や申請のタイミングなどの重要事項を、必ず確認するようにしてください。というのも、一般の方にとってわかりづらい点も多く、ちょっとした勘違いでメリットを受けられない可能性もあります。たとえば、最近関心が高まっている太陽光発電システムの補助金は、住宅の着工前申請が条件ですが、私が相談を受けた方の多くは、その点をご存じではありませんでした。せっかくの制度ですので、下調べを入念に行っておくことが大切です。

とはいえ、補助金ほしさにマイホームを買い急ぐのはやはり本末転倒です。マイホーム購入の判断材料には、ご家庭のライフプラン、住宅ローンの金利動向、住宅関連の優遇税制など色いろな視点がありますが、私の場合は、@自己資金が充足 A他に借り入れがない Bマイホームの購入目的がある―の3つの条件がそろっていれば、ご相談者には前向きな購入をお勧めしています。これだけの大きな買い物ですので、購入に慎重になる気持ちもわかりますが、逆に考えあぐねて購入のタイミングを逃してしまったお客さまをたくさん見てきました。

マイホームは人生で一番高価な買い物と同時に、家族と同じ月日を育む大事なスペースでもあります。まずは外的な要素にあまり左右されず、先ほどの3つの条件に当てはまるかどうかを考えてみてください。そこで「YES」の結論がでたならば、今度はおトクな制度が利用できないか、様ざまな角度から探してみてはいかがでしょう。そんなスタンスで望んでいただければ、満足のいくマイホーム購入に少しでも近づくと思います。

(記事提供:ニッキンマネー2016年2月号 マイホーム おトクな制度 大集合)

武蔵野銀行の住宅ローン情報はこちら

このページの先頭へ