産前産後の働き方とお金

出産をすると、それまでと同じ働き方を続けるのは難しくなりがちです。妊娠・出産を機に休業・退職することも。働き方によって、公的な経済支援がどのように変わるのかをお伝えします。

プロフィール

加藤 梨里(かとう りり)

マネーステップオフィス(株)代表、CFP®、金融知力インストラクター、慶應義塾大学SFC研究所上席所員

2014年に独立し、家計相談や雑誌・WEBでの執筆を中心に活動中。4月には、働く女性のための専用サイト「Woman Theory」を立ち上げ、女性のネットワークづくりにも力を注いでいる。大の料理好きで、料理番組(NHK)のコンテストで優勝したほどの腕前

出産や育児で基本手当を受けられない時は「受給期間延長」の手続きをお忘れなく! 提出期限 離職日の翌日から30日を過ぎてから1ヵ月以内 延長期間 最長3年間(通常の受給期間と合わせて最長4年間) 提出書類 受給期間延長申請書、離職票、本人の印鑑(認印)、必要に応じ各種証明書 提出先 お住まいを管轄するハローワーク

産後8週間は必ず休業

もし仕事を休まずに済むのなら、収入面だけを考えれば出産前後もできる限り仕事をする方が有利です。出産予定日を基準として、それ以前の42日間(多胎妊娠の場合98日)は、本人が休業を希望したら、勤務先は従業員を就業させてはいけないことになっています(労働基準法の産前休業)。ただし、産前休業を実際に取るかどうかは、本人の自由です。体調にあわせて、出産前日まで仕事をすることができます。

その一方、出産後については、たとえ本人が希望しても、出産日の翌日から56日間は原則として仕事に就くことはできません(同法の産後休業)。

産後、ママは出産の疲れで体力が低下しがちです。赤ちゃんのお世話も忙しい時期ですから、まずはゆっくり休むことになっているのです。ただし、産後42日を経過して医師が就業に支障がないと認めれば、仕事に復帰することができます。

退職後も受け取れる出産手当金

仕事を休んだ時に気になるのが収入の減少です。法律上はノーワーク・ノーペイの原則≠ニいって、本人が働かなかった期間は、会社が給料を支払う必要はないとされています(実際の対応は会社によってまちまちですので、ご確認ください)。

でも、ご安心ください。健康保険に加入している人は、出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産日後56日については「出産手当金」を受け取ることができます。出産のために会社を休んで無給になったり、給料が3分の2未満に下がったりした場合には、月給の日割り額の3分の2相当額を上限に、その差額が支給されます。

出産手当金は、原則として会社員・公務員などお勤めの人が対象なので、出産前に退職した人やフリーランス・自営業の方は対象外です。ただし、①健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある②出産日または出産予定日から42日以内に退職している③退職日当日に産後休業に入っているなどの条件を満たすと、退職後も出産手当金を受け取れます。ただし、退職日にお勤め先に出勤すると、出産手当金を受給することはできません。この点はよく注意しておきましょう。

出産・育児中は失業手当を受け取れない

一般に仕事を退職したら、次の仕事が見つかるまでの生活保障として、雇用保険の基本手当を受けることができますが、妊娠・出産・育児をしている期間は、すぐに仕事に就くのは難しいとみなされ、基本手当を受給することはできません。でも、雇用保険の受給期間は離職してから1年間と限られているため、通常は退職後1年を超えてしまうと雇用保険の給付を受けられなくなってしまいます。

そこで雇用保険には、育児が落ち着いて仕事を探せる状態になった時に基本手当を受け取れるよう、雇用保険の受給を保留しておく「受給期間延長」というしくみがあります(図表)。妊娠・出産・育児のために働けなくなったときには、通常1年間の受給期間を最長4年間まで延長することができます。延長するには、退職日の翌日から30日を過ぎてから1ヵ月以内に、お住まいを管轄するハローワークで手続きします。

基本手当を受け取れるのは、原則、退職前2年間に雇用保険に通算12ヵ月以上加入していた人。月給の日割り額の5〜8割程度を90〜330日分(雇用保険の加入期間によって異なります)、受給することができます。

(記事提供:ニッキンマネー2015年11月号 すくすく、ワクワク 子育てとお金)

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