子育てとお金 出産費用と公的サポート

はじめて赤ちゃんができたときは、喜びとともに不安もいっぱい。できればお金の心配をしたくないものです。そこで、妊娠から出産までにかかる費用と公的な経済支援のしくみをお伝えします。

プロフィール

加藤 梨里 (かとう りり)

Money Step Office代表、CFP®、金融知力インストラクター、慶應義塾大学SFC研究所上席所員

2014年に独立し、家計相談や雑誌・WEBでの執筆を中心に活動中。4月には、女性会員のための専用サイト「Woman Theory」を立ち上げ、働く女性のネットワークづくりにも力を注いでいる。大の料理好きで、料理番組(NHK)のコンテストで優勝したほどの腕前

自治体補助がある妊婦健診

お腹の中で赤ちゃんを育む妊娠期間は、赤ちゃんとママの健康状態をチェックすることが大切です。そこで、妊娠中は妊婦健診を受診することになっています。原則として全14回、超音波検査や血液検査などを受けます。妊娠は病気ではないので健診費用には保険が使えず、全額が自己負担になります。

そこで自治体では、健診費用の助成を行っています。住所地の役所に妊娠を届け出ると、母子手帳と一緒に14回分の「妊婦健康診査受診票」が配布されます。この受診票を使うと、1回あたり5千円〜1万円程度かかる妊婦健診の費用の全額、または一部を負担せずに済みます。ただし、検査費用は医療機関や検査内容によって異なり、自己負担が発生することもあります。

一時金と手当金のW支給

出産時には分娩費用がかかります。日本産婦人科学会の調査によると、分娩・入院にかかる費用の全国平均は約42万円。医療機関の種類や地域によって約20万円から約80万円と大きな差があります。正常分娩の場合、分娩費用は健康保険の対象にはなりませんが、この費用負担を軽減してくれるのが「出産育児一時金」です。

妊娠4ヵ月目以上の出産について、健康保険(以下「健保」)から子ども1人につき42万円が支給されます。双子なら倍額の84万円になります(※1)。ご主人の扶養に入っている方は、ご主人の健保から「家族出産育児一時金」として支給されます。

加入している健康保険によっては、さらに5万円や10万円などの付加給付が受けられたり、お住まいの自治体によっては、42万円以上の分娩費用がかかった場合に差額が助成されたりすることもあります。

出産をする医療機関によっては、出産育児一時金を健康保険から医療機関に直接送金する「直接支払制度」を利用することができます。退院時に分娩費用を支払った後に一時金を受け取るのではなく、請求金額から出産育児一時金があらかじめ差し引かれるので、入院中に高額な現金を用意せずに済みます。

なお、妊娠や出産にあたって合併症が発症した場合や、帝王切開手術を行った場合は健康保険の対象になり、自己負担は3割になります。1ヵ月あたりの医療費が一定額以上の高額になった場合には、高額療養費制度から自己負担した費用の一部が戻ってきます。

また、健保に加入している人が出産のため会社を休んで、給料が3分の2未満に下がった場合には、「出産手当金」が支給されます。支給額は月給の日割り額の3分の2相当額で、出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産日後56日まで受け取れます。

パパも利用できる育児休業給付金

出産後56日を経過してから子どもが満1歳になるまで(条件を満たすと1歳2ヵ月または1歳6ヵ月まで)は、育児休業を取得することができます。その間、給料が休業する前の賃金の80%未満に下がる場合は、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。その金額は、育休を開始してから180日目までは休業前の賃金の67%(※2)、それ以降は50%です(図表)。お勤め先から給料が出るときは「賃金+給付金」の額が休業前の賃金の80%を超えると、超えた分が減額されます。

なお健保の出産手当金と雇用保険の育児休業給付金は、原則としてお勤め先を退職すると受給できません。ただし、勤続年数などの要件を満たすと、一定の範囲内で受け取ることができます。

※1 産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は40.4万円(2015年1月以降の出産)

※2 2014年3月31日までに開始した育休は、育休全期間について休業開始前賃金の50%が支給される

(記事提供:ニッキンマネー2015年10月号これでスッキリ 健康保険AtoZ)

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