旅先で病院にかかったら

楽しいはずの旅行も、いつアクシデントが起こるかわかりません。
夏休み本番を前に、旅先で病院にかかった時の健康保険の利用方法をご紹介します。

プロフィール

福島 えみ子 (ふくしま えみこ)

リュクスセオリーFPサロン代表、CFP®、1級FP技能士

銀行、法律事務所に勤務後、お金の知識の有無で人生は左右されることがあるとFP資格を取得。転機の多い女性にあわせたフレキシブルなプラン、人生を楽しむためのプランづくりが得意。講演・執筆・相談と幅広く活動中。

対象外はあるけど海外でも使えます

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夏休みは海外で過ごす計画を立てている人も多いのではないでしょうか? 楽しい海外旅行も、慣れない水や食事、時差などで体調を崩し、病院に駆け込むこともないとはいえません。

そうした海外で病気にかかった場合でも、公的健康保険から給付を受けることができるのです。これを「海外療養費」といい、治療費はいったん自分で立て替えますが、帰国後に手続きを行うことで、現地で支払った医療費の一部が払い戻されます。とはいえ、海外で受けた診療や治療なら何でも対象になるというわけではありません。

まず、日本で健康保険が使えないものは、海外での治療でもやはり使えません。ですから、日本で保険適用外の治療や入院時の差額ベッド代などは、海外でも対象外です。また、海外で「予期せず」「急に」病気やけがをした時のみ、給付の対象となりますので、はじめから海外で診察や治療を受けるために渡航したケースも認められません。ただし、もともとの持病が海外で悪化して病院にかかった場合は、対象となりますので安心してください。

治療費の高い国の場合は?

ただ海外には、アメリカなど医療費が高い国々もあります。同じ病気にかかって同じ治療をしても、日本の感覚では考えられないほど、治療費が高額になることもあります。では、そうした費用も一定の自己負担で済むのかといえば、そうではありません。

海外療養費として給付を受けられるのは、日本国内の病院で同じ治療を受けた時の医療費を基準にした金額です(海外の方が低い医療費の場合は、海外で支払った金額が基準)。そして、さらにそこから、自己負担分(現役世代では3割)を差し引いた金額が支給額となります。

このように、いったん自分で全額を立て替えなければならない点と、日本で受けた場合の医療費を超える部分がカバーされない点は、よく注意しておきたいところです。医療費の高い国を訪れるなら、民間の海外旅行保険への加入も検討しておきましょう。また、クレジットカードをお持ちの方なら、海外旅行時の補償が付帯されている場合がありますから、その内容の確認もお忘れなく。

ちなみに海外の病院では、通常は現地通貨で支払いますから、為替レートの影響を受けます。実際の給付は、支給が決定した日のレートが適用されるため、日本円換算では実際の負担金額よりも多少変わる可能性があります。

なお、海外療養費の給付手続きは、図のような流れで行います。その際、「診療内容明細書(英語では「Attending Physician’s Statement」と言います)」と「領収書原本」が必要となりますので、現地の病院で必ず受け取って大切に保管しておきましょう。

一方、国内旅行では、保険証さえ携帯していれば、全国どこの病院でも一部自己負担のみの支払いで済みます。でも、うっかり保険証を持っていなかったら、どうでしょう。

その時も、基本的には海外と同じように、まずは全額自費で治療費を支払い、後日、健康保険に「療養費」の還付を申請することで、自己負担分を除いた金額の払い戻しを受けることができます。ただしこの場合も、申請には診療報酬明細書と領収書が必要となりますので、必ずもらっておくことを忘れないでください。

一時的とはいえ、旅先での治療費の出費はできるだけ抑えたいもの。思いがけないアクシデントに備え、保険証は常にお財布などに入れておくと安心です。

(記事提供:ニッキンマネー2015年8月号 これでスッキリ 健康保険AtoZ)

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