働く人の5人に1人がシニア
「会社を辞めたら、悠々自適に年金生活!」なんて、今や昔の話。定年退職後も、元気で働く人が増えています。
総務省の調査によれば、日本国内の全就業者数は6350万人。このうち、5分の1にあたる約1230万人が60歳以上のシニアです(図表①)。図表には載せていませんが、就業率をみても60〜64歳の60%強、65〜70歳の約40%が、何らかの職業に就いています。10年前と比べると、60〜64歳の人は、何と10%もの上昇率です。
60代前半の就業率が上昇している背景には、公的年金に対する不安や賃金の伸び悩みによる貯蓄不足などが考えられます。実際、働くシニアの声を聞いてみると、理由のトップは「経済上の理由」(図表②)で不安の大きさが伺えますが、一方でシニアに対する雇用環境の整備もそれを後押ししています(図表③)。そのきっかけになったのが、2006年に改正された「高年齢者雇用安定法」です。
この改正によって、定年制の廃止あるいは引き上げのほか、再雇用制度の活用によって、65歳まで働くことができる環境整備が本格化しました。実際には再雇用制度を採用する企業が多く、定年後いったん退職し、新しい給与体系のもとで働くことになります。給料は現役時代よりも大きく減ってしまいますが、それでも長年勤めた会社で働ける安心感は大きいでしょう。