先ほどのライフプラン表で設定した妻の収入は、年間130万円未満でしたので、夫の扶養の範囲内に収まっていました。
もうご存じかもしれませんが、男女を問わず、働いて得た収入からは、基礎控除38万円と、給与所得控除65万円が差し引かれるので、合計103万円までは所得税がかかりません。この103万円を超えると課税の対象となり、さらに夫の給与から引かれていた配偶者控除が、配偶者特別控除に切り替わり、年収141万円までは、その金額に応じて段階的に控除額が縮小していきます。
また会社によっては、扶養家族をもつ人が生活を維持できるよう、基本給に加えて家族手当を支給するところも結構あります。この際の扶養家族の判断も、妻の年収が103万円を超えるかどうかで、決まるケースが多いようです。つまり103万円を超えると、所得税を支払い、配偶者特別控除に切り替わり、家族手当がなくなる可能性がでてくるわけです。
さらに妻の年収が130万円以上になると、夫の扶養からはずれ、妻自身が厚生年金や健康保険などに加入することになります。
年収が103万円を超えても、支払う税額はわずかですし、配偶者特別控除もすぐにゼロになるわけではないので、負担の大きさでみれば、やはり社会保険料を自分で支払うことになる、130万円の壁≠ェ気になります。
あくまで目安ですが、厚生年金、健康保険、介護保険(40歳以上)をあわせ、給与の15%程度が、保険料として差し引かれるイメージです。実際の金額で考えると、年収150万円の人と、年収130万円ギリギリの人では、手取りでそれほど大きな違いがでないことになります。いっそのこと高額収入をめざしてバリバリ働くのであれば別ですが、月収10万〜12万円の間で働く主婦にとっては、非常に微妙な問題です。
ただ、確かに損なイメージもつきまといますが、働いて税金や社会保険料を支払うメリットも、実は見逃せません。
一番注目したいのは、自分の年金を増やせる点でしょう。厚生年金の社会保険料は、その半分を会社が負担してくれるので、自分が負担する倍の金額が、実際には納められています。月々の年金額の差は終身で続くので、生涯の累積で換算すれば、基礎年金だけの金額と比べて大きな差がつくはずです。それに万一の際に障害厚生年金や、遺族厚生年金も利用できるようになります。
また自分で健康保険に加入すれば、「傷病手当金」といって、業務外の病気やけがで仕事ができなくなった場合でも、給料の3分の2に相当する金額を、最長で1年6ヵ月間、受け取ることができます。「出産手当金」もでるので、出産後の復帰がしやすくなるのも注目したい点です。