いつからどのくらい?
退職時の住宅ローンの残高が、その後の生活に大きな影響を与えそうなら、現役時代のうちに何らかの手を打っておく必要があります。一番手っ取り早いのは、通常の返済とあわせて、繰り上げ返済をすることでしょう。
さて…、ではどの程度の金額をいつから繰り上げ返済していけば、退職時に、その後の生活の負担にならない程度まで残高を減らすことができるのでしょうか?
左の図表は、40歳のときに、3千万円のローンを、期間35年、金利2%の全期間固定で組んだケースです。月々の返済額は10万円弱になります。このケースでは、60歳の時点で1500万円以上、65歳の時点でも1千万円以上の残高があることがわかります。
もちろんこのままでは、退職後も10万円弱の返済を続けていくことになります。
そこでローンの返済が始まってから、3年ごとに100万円を繰り上げ返済するケースを考えてみました。毎月2万7千円くらいを、通常の返済とは別に積み立てていく計算です。そうすると、返済期間は約9年縮まり、60歳時点の残高も830万円程度になります。期間が短縮された分、トータルの利息負担も、323万円、圧縮されます。
さらにがんばって、2年ごとに100万円と、返済のペースを速めた場合はどうでしょう? 毎月4万2千円弱を、通常の返済とは別に積み立てていく計算です。このペースでいけば、返済期間は約12年縮まり、60歳時点での残高は500万円を切っています。利息負担も、435万円、圧縮できます。63歳で完済できるので、退職金で一括返済するにしても、返済を続けるにしても、老後にそう大きな影響はなさそうです。
二度と取り返せません
ただ繰り上げ返済は一度返済してしまったら、二度と取り返せません。「やっぱりほかで使うから、繰り上げ返済したお金を戻して」といって、応じてくれる金融機関は皆無です。
繰り上げ返済は、利息の削減効果があり、返済額以上に総返済額が目減りするので、非常におトク感があります。それに借金が減っていくのは、感覚的にもスッキリした気分になりますよね。
この試算では期間を短縮していますが、利息削減効果は劣るものの、毎月の返済額を減らす方法もあります。効果とデメリットを比較して、無理のない範囲で、活用していくことが大切です。