退職金や年金の受け取り方

退職前後には、退職金や公的年金にかかわる受給手続きが発生しますが、その受給方法の選択によって、セカンドライフは大きく変わります。これから説明する3つのポイントを参考に、ご夫婦でよく検討してみてください。

プロフィール

鈴木 暁子 (すずき あきこ)

FPオフィスNext Yourself代表。CFP®、住宅ローンアドバイザー
DCマイスター、宅地建物取引主任者、行動経済学会会員

外資系SEを経てFPに。セミナーや講演の講師をはじめ、雑誌・WEBの執筆、相談業務など精力的に活動中。最近は、50代以降のシニア層のマネープラン、終のすみか、終活サポートまで活動の場を広げている。近著に「100歳まで安心して暮らす生活設計」(実業之日本社)など

プレリタイアにとって大きな悩みどころ

ことお金に関しては、退職を迎える時が人生最大のターニングポイントになるといっても過言ではありません。事実、プレリタイア世代の方からは、退職前後のお金に関する悩みや相談がたくさん寄せられます。その中で多いのは、退職後の働き方。もう1つが、退職金や公的年金の受け取り方など、退職前後の手続きに関するご相談です。

前者の重要性は誰もが認識するところかと思いますが、後者の受給手続きも、実はとても大事です。現役世代と比べ、収入の絶対額が減るリタイア後は、受給手続きの違いによって収支計画が大きく変わり、それがセカンドライフ全体に影響を及ぼす可能性があるからです。

私はこうしたご相談に対して、3つの視点≠ナ検討いただくことをお勧めしています。手続き上の実務的な説明は省きますが、検討の際のポイントはぜひ押さえてください。

「おトクさ」「安心感」「ライフプラン」

まずは、税金や年金などに関して、『どんな受け取り方が、金銭的におトクか』という視点。たとえば、退職金を受け取る場合には、一時金か年金かどちらか選ぶ(併用可能な企業もある)ことができますが、実は前者のほうが税制面で優遇されています。大学卒業後、定年退職まで38年間勤務した人であれば、2060万円までは税金がかかりません。一方、年金形式を選ぶと、毎月の定期収入となるので、その金額に応じて所得税や住民税、社会保険料がかかります。

また公的年金も、国民年金・厚生年金ともに受給開始時期を遅らせることで、月々の受給額を増やすことができます(「繰り下げ受給」と言います)。ただ繰り下げ期間中は、公的年金がもらえないので、貯蓄の取り崩し額は大きくなりますし、加給年金の支払いもストップしてしまいます。こうした受給方法の違いによるメリットやデメリットをご存じでない人も多いので、今のうちに整理しておきましょう。

2つ目は、目先のおトクさだけではなく、『長い目で見てどちらが安心できるか』という視点。たとえば、税制面では優遇されている退職一時金ですが、一度に大金が手に入ることで気が大きくなり、無理な運用に手をつける人も少なくありません。また、「お金の使うペースがわからない」「預金通帳の残高がみるみる減っていくので不安」といった、シニアの声もよく耳にします。

その点、年金形式で受け取れば、生活費として管理しやすいですし、「終身タイプ」でもらえるのであれば、一生涯受給できる安心感は大きいと思います。

そして3つめは、ご自身が描く『ライフプランに照らした場合、妥当な選択になっているか』です。たとえばセカンドライフの初期をアクティブに過ごしたいと考えている人なら、その時期はある程度まとまった資金が必要です。そうなると、公的年金の繰り下げ受給は、より慎重に判断すべきでしょう。

妥当な選択かどうかを確認するには、やはりキャッシュフロー表(CF表)でのシミュレーションが欠かせません。90歳まで貯蓄が底をつかないことを前提に、退職金や年金の受け取り方とライフイベントの時期・予算などの諸条件を色いろ変えて、ご自身に適したライフプランを探してみてください。

こうした手続きは、一度選んだら変更できないケースが多く、根拠があいまいなまま決めてしまうと、後悔することにもなりかねません。CF表で何度も検証し、ご自身や配偶者が納得したうえで手続きに臨むことが大切です。

(記事提供:ニッキンマネー2015年1月号)

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