FP工房 女屋事務所 相続なんでも相談室
自宅の相続と税金

宅地と家屋の評価方法

相続財産としての宅地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。市街地にある宅地の価額は、税務署に行けば誰でも閲覧することができる、路線価図を用いて評価額を算出する路線価方式を使います。

実際の評価額は、この路線価に宅地の立地や形状に応じて一定の調整を加えて、宅地の評価額を算出します。土地の間口・奥行き・地形などで利用しにくい土地は評価が低くなり、逆に、2つの路線に面している角地などは利用価値が高く、評価も高くなるといった具合です。

都市郊外の地域などで、路線価が定められていない地域については、固定資産税評価額に、その地域ごとに定められている一定の倍率をかけて計算することになっています。この倍率は国税局が毎年見直しをしており、倍率表により公開されています。

一方、相続財産としての家屋は、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて求めますが、現在この倍率は1倍とされていますので、固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額となります。

プロフィール

女屋 哲也 (おなや てつや)

1級FP技能士、CFP®、証券外務員、
DCマイスター、宅地建物取引主任者、行動経済学会会員

FP工房 女屋FP事務所所長、高崎経済大学非常勤講師、群馬県金融広報アドバイザーなどマルチに活動。見かけによらずアウトドア派で、尾瀬、富士山から屋久島まで日々、山行に励む。招き猫収集家でもある。

評価額が8割減

被相続人の自宅、あるいは店舗や事務所など事業用に使っていた宅地は、のこされた家族や事業承継者の生活の基盤となる特別な財産です。そこで、これらの宅地の価額については一定面積まで評価減を適用する「小規模宅地等の特例」が用意されています。

対象となるのは、被相続人または被相続人と生計を一緒にしていた親族が、居住用または事業用に使用していた宅地で、その宅地上に建物や構築物があることが条件となります。

この特例を受けられるのは、その宅地を相続や遺贈により取得した人です。相続人あるいは親族かどうかは問われません。ただし、被相続人の配偶者などの特定の人を除いて、少なくとも相続税の申告期限まで、引き続き居住あるいは事業を行うことが求められます。

減額割合は居住用・事業用とも80%減で、居住用は240uまで(2015年1月1日以後の相続より330uに拡充)、事業用は400uまで適用されます。

短気は損気

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内と決められています。ここでポイントとなるのが、「小規模宅地等の特例」を受けるためには、この期限までに相続税の申告を行うことが必要だという点です。

ところが、短気にかられて相続人間で遺産分割の協議がまとまらず、結果、期限までに相続税の申告が間に合わなかった場合には、当然、この特例は適用外となってしまいます。

せっかくの税制優遇も、これでは宝の持ち腐れ、まさに短気は損気≠ニ言わざるをえません。しかも、いわゆる「争族」が深刻になり、調停や裁判となれば、決着するまでに、何年もの年月を要することもあり得ます。

これでは、相続税の負担が膨らむどころか、弁護士費用まで余分にかかるハメに陥ることにもなりかねません。

特例の要件や内容を承知しておくことも大切ですが、それよりも重要なのは、特例の存在意義をしっかり理解することです。

のこされた者たちが、相続税の負担で、その後の生活に困ることのないよう、特別に用意された制度なのですから。

(記事提供:ニッキンマネー2014年11月号)

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