両立のコツって?仕事と介護

親も心配、でも仕事も大事

仕事と介護の両立、悩ましい問題です。自分の親の介護が現実問題として浮上し始めるのは、だいたい50歳を過ぎてから。男女を問わず、職場ではそれなりの立場と責任を担い、活躍している時期です。親が心配なのはもちろんですが、同時に、自分の生活を守ることも大切です。なんとか両立して乗り切りたい、それが大多数の願いでしょう。

ただ、一口に親の介護といっても、ご家庭で事情は様ざま、決してひと括りにはできません。やむなく仕事から離れざるを得ない人も少なくないはずです。

キャリアが消えるそのとき…

離職経験 女性は8割

では実際、介護を理由に仕事を離れる人はどのくらいいるのでしょうか?右の図表はその様子を表したものですが、介護をしている人は約557万人(うち女性は約357万人)で、そのうち仕事をしている人は半分弱の割合です。年齢でみると、女性では40歳を過ぎるころから、男性も50代後半から、介護に参加する人の割合が増えてきています。

一方で、過去5年ごとに、介護離職をする人の割合を見てみると、近年は減少傾向にあります。2010年に介護休業制度ができるなど、法的な支援の枠組みが整った影響が見て取れますが、それでも毎年10万人が介護離職を余儀なくされている状況です。

特徴的なのは、男性と比較して、女性の離職率が非常に高い点です。介護・看護を理由に、前職を離職した経験のある男女は、2007年10月から2012年9月までの5年間で、累計48万7千人。うち女性はなんと、ほぼ8割を占めています。

その理由は様ざまでしょうが、介護離職の影響は思っている以上に深刻です。まずは、その点を確認していきましょう。

厳しい復職への道

では介護で離職すると、どんな影響がでてくるのでしょうか? 介護に従事する女性の割合は40代から本格化します。結婚して家族がいる人にとっては、教育費や住宅ローンの支払いなど、人生のなかでもっとも家計運営が厳しい時期を迎えるころです。

ここでもし仕事をやめてしまったら…。夫婦で働いている場合は、一時的にでも、パートナーの収入に頼って生活していくことになります。単身の場合は収入が途絶えるので、生活費そのものは貯蓄を取り崩すか、親の年金収入などに依存することになるでしょう。

そして介護離職の怖い点は、一旦会社をやめてキャリアが中断すると、年齢的にもその復帰が難しいという点です。

介護・看護のために前職を離職した経験のある人は、直近5年間で約48万7千人。右の図表にもある通り、その後、仕事に就けた人は男女とも4分の1程度しかいません。これが、前職と同等の給与や待遇のある仕事に復帰できるかどうかとなると、そのハードルはもっと高くなります。

一旦、離職してしまうと復帰が難しい、それは目の前の生活だけでなく、自分の老後のライフプランにも大きな影を落とします。

また女性の視点で介護離職を考えてみると、上記の説明のような心配もでてきます。立場によって事情は様ざまでしょうが、今だけでなく、将来も見据えて、できるだけ仕事をやめない方法を探していきたいところです。

夫婦共働きと介護の責任

介護離職を避けたい理由は、なにも経済的な問題だけではありません。仕事をキャリア≠ニ捉えた場合はどうでしょう?

夫が働き、妻は家庭を守ることが普通だと考えられてきた昔と違い、今では夫婦で働き生計を維持する家庭が増えています。

2013年の夫婦共働きの世帯数は1071万世帯で、夫婦のいる世帯全体の約36・6%、10年前と比べて約4ポイント上昇しています。消費税率や社会保障費の引き上げなど、さらなる負担増が予想されるなか、夫婦で力をあわせて生計を維持していく家庭は、今後も増えていくでしょう。

女性が家計運営の責任を強く担うようになるほど、仕事は自立した人生を送る上で大切なものになっていきます。せっかく築いたキャリアを、女性だからといって軽く考えることはできません。

女性の就労が様ざまな意味で重要性を増すなか、女性にとって、自分のキャリア、生活への責任を維持しながら、介護とどう向き合うかを真剣に考えなければいけない時代になりました。もちろん男性にとっても、介護を妻まかせ≠ノしていい時代ではなくなっています。

注目!介護離職に潜むリスク

いつ終わるかわからない

介護の怖いところは、いつ発生し、そしていつ終わるのかが、わからないところでしょう。同じく、女性にとって離職を考える機会になりやすい「出産・育児」の場合、負担が集中し経済的に厳しくなる期間の目安がわかるので、そこは決定的に違う点といえます。また離職に伴い厳しくなるのは、経済面だけではありません。厚生労働省が介護離職に伴う変化を調査した結果*、精神的、肉体的に、離職前と比べて負担が増したと回答する女性が過半を占めています。社会とのつながりが薄れ、介護中心の生活になることは、逆に心身ともに負荷が大きいようです。介護と長く付き合うためにも、仕事の継続は大事な課題といえます。
*「仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査」(2012年)

現在、老後の生活に影響

仮に30万円の収入があったとして、5年間仕事から離れただけで、経済的損失は単純計算で1,800万円。夫の収入だけに頼って、生活費や住宅費、教育費などをやりくりするのは結構な負担ですし、まして独身の場合は収入がなくなるわけですから、いつ終わるかわからない介護のため、貯蓄を取り崩すか、親の収入に頼るなどして生計を立てることになります。目先の生活だけで頭がいっぱいになりそうですが、むしろ心配なのは老後への備えです。介護離職に陥りやすい期間は、ライフプラン上、老後資金を準備する大事な時期でもあります。ここをのがすと、自分の老後のマネープランにも影響がでる点には注意が必要です。

年金額にも心配が

仕事をやめると、第2号被保険者でなくなります。ご存じのとおり、厚生年金の保険料は労使折半なので、国民年金よりも有利な年金額が支給されます。介護離職は、この厚生年金の加入期間が短くなる分、年金額にも少なからず影響を与えます。たとえば20歳で入社し、以降、厚生年金に加入している人が50歳で離職し、60歳まで専業介護をした場合、年金額は約153万円。でも60歳まで介護をしながら働き続けた場合、年収が100万円おちたとしても、年金額は約184万円*です。毎月2万6,000円ほどの差がつくわけですから、結構大きいと思います。さらに企業年金がある場合、そこでも金額に差がつくことになります。
*2003年3月までの平均月収(標準報酬月額)は30万円、以降の平均年収(標準報酬額×12)は600万円で試算

知っておきたい介護支援のあれこれ

行政サービス3つの要

仕事と介護を両立するには、まずはまわりの協力を得ることが大切。なかでも行政の介護サービスについては、しっかり理解しておく必要があります。とくに介護と直面した際に知っておきたいのが、「介護保険」「介護休業制度」「介護休業給付」の3つです。

制度の詳細は下記の説明(ポイント@〜B)に譲りますが、介護保険は要介護者の負担の軽減に、介護休業とその給付金は、介護離職の回避と、要介護者を支える人のサポートをその目的としています。

このうち介護休業制度は、休業以外にも、法定時間外労働の制限、介護を理由とした不利益な取り扱いの禁止などが一体となっている制度で、育児休業制度と同じ法律から成り立っています。これとは別に、企業は@短時間勤務制度 Aフレックスタイム制度 B始業・終業時間の繰り上げ(または繰り下げ) C介護関連費用などの助成制度の、いずれかを導入するきまりになっています。

介護に直面した際に、まとまった休みと、その間の生活保障を受けることができるわけですが、残念ながら、育児休業と比べてみると、介護休業の取得率は低いのが現状です。

その内訳は、介護をしている雇用者は約240万人で、うち介護休業を利用したことがある人は7万6千人、短時間勤務は5万6千人、介護休暇は5万5千人と、いずれも全体からみると、数%の状況です(2012年)。

育児休業ほど介護を理由とした休みの取得に理解が進まない先が多い一方、休業期間が短く、介護休業給付の金額が収入の4割程度にとどまる点、原則として2週間前までの申し出が必要な点、給付金の支給は職場復帰後となり休業期間中は持ち出しとなる点などが、その要因と思われます。ただ仕事との両立を図る上で、介護発生時に必要な手続きをすませ、新しい生活基盤を整えるという点では、有効な制度であることも事実です。

こうした介護に関する行政支援の概要を知っておくことはもちろん、その他にも、日頃から職場やご近所と情報を共有し、いざというときに助けてもらえる環境を整えておくことも、大切な準備といえるでしょう。

地域の窓口にまずは相談

また、いざ介護が発生した場合、最初にお世話になる行政サービスの窓口が、「地域包括支援センター」です。これは介護保険法で定められた、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを行なう機関で、各市区町村に設置されています。

公的な介護保険を利用するには、まず要介護認定を受ける必要がありますが、住所地の市区町村の介護保険課や、その代理窓口となる、地域包括支援センターなどへ申請することになります。

介護に関連した専門知識を持った職員の相談を受けることができるので、仕事を続けながら介護をしていく上で必要なケアプランについて、色いろと相談することができます。介護を行なう予定の所在地にある支援センターの存在を確認しておくだけでも、いざというときの初動対応が違ってくるはずです。

現金を準備できる民間の介護保険

仕事と介護の両立で、悩ましいのが介護にかかる費用をどうするかという点です。実際の介護の現場では、介護を受ける人、介護する人双方に、どうしても金銭的な負担がつきまといます。

たしかに公的介護保険を利用すれば、上限があるものの介護サービスを1割負担で利用できます。でも介護保険は、年金のように、現金が給付される制度ではありません。将来の介護の負担に現実的に備えるのであれば、介護を受ける親に、現金を用意してもらうか、もしくは民間の介護保険に加入してもらうことも、有効な方法のひとつといえます。

この辺は、介護の心配がいらない時期から、親子・家族で話し合っておきたいポイントですね。

民間の介護保険とは、おおまかには公的介護保険の要介護認定、もしくは、保険会社所定の要介護状態になり、一定期間を経過した場合に、まとまった介護保険金などが支払われるものです。

もし介護状態にならなかった場合でも、万一の際には死亡保険金が支払われたり、一定期間経過後に解約すれば、支払った保険料以上の解約返戻金を受け取ることができる商品も多いので、介護と老後の資産形成、両方に準備することができます。

ポイント@介護保険

介護保険は2000年4月に始まったサービスです。市区町村に申請し、要介護認定を受けると、その要介護度に応じて、介護サービスを1割負担で利用できます。

サービスの種類は?

要支援1〜2の人は、介護予防ケアプランを地域包括支援センターが作成し、要介護1〜5の人は、居宅介護支援事務所でケアマネージャーが、ケアプランを作成します。訪問介護や訪問入浴介護など、家庭を訪問してくれるサービスや、日帰りで利用できるデイサービスセンターなど、施設に通って受けるサービスのほか、特別養護老人ホームや有料老人ホームのように、介護保険で利用できる施設サービスもあります。

お金がもらえるの?

介護保険は、年金のように現金が給付されるわけではなく、利用した施設やサービス事業者に直接、給付が行われ、利用者は1割の自己負担分だけを支払います。その点では、公的な医療保険と似たしくみの制度です。ただし、要介護度に応じた支給限度額・サービス以上を利用した場合は、その全額が自己負担になります。

要介護認定って?

介護保険制度による在宅・施設サービスなどを受けるためには、要介護認定審査を受けなければなりません。その認定審査は、高齢者が生活上、どれほど介護の手間がかかるかが基準になります。病気などの重症度ではなく、必要とされる介護の度合いに応じて決まるしくみです。「要支援1〜2、要介護1〜5」の7段階があり、それぞれで支給限度額や利用できる介護サービスに違いがあります。

ポイントA介護休業制度

介護休業制度は、会社に勤める人が、介護を目的に利用できる休業制度です。育児・介護休業法によって定められています。法律で定められた制度なので、勤務先の就業規則に記載されていなくても利用できます(別途、公務員が利用できる、介護のための休職制度もあります)。

取得の条件は?

原則、要介護状態にある対象家族を介護する、ほとんどの働く男女が取得できます。期間雇用者の場合、申出時点で @同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上 A休業開始日から93日を経過する日以降も引き続き雇用されることが見込まれること、が条件です。

何日取得できるの?

会社に書面で申し出ることで、対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算して93日まで取得できます。2回目の介護休業が取得できるのは、要介護状態が悪化して、より重い介護認定になった場合です。契約社員やパート、アルバイトで働いている人も、要件を満たせば介護休業を取得することができます。取得するには、原則、2週間前までに、書面などで事業主に申し出る必要があります。

要介護状態とは?

負傷、疾病、身体・精神上の障害で、2週間以上の常時介護を必要とする状態をいいます。介護保険制度の要介護・要支援認定を受けていない場合でも取得できます。

対象の家族は?

配偶者(事実上の婚姻関係でもOK)、父母、子ども、配偶者の父母と、同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫です。配偶者や父母については、同居していなくても介護休業を取得できます。

ポイントB介護休業給付

介護休業給付とは、家族を介護するための休業を取得した場合に、給付金がもらえる制度です。

受け取れる期間は?

支給対象となる家族の同一要介護につき1回の介護休業期間(ただし、介護休業開始日から最長3ヵ月間)に限り支給されます。同一の対象家族について介護休業給付金を受けたことがある場合であっても、要介護状態が異なることにより、再び取得した介護休業についても介護休業給付金の対象となります。ただし、この場合は、同一家族について受給した介護休業給付金の支給日数の通算の限度は、93日です。要介護状態・対象家族の条件は介護休業制度と同じです。

給付の条件は?

介護休業開始日前2年間に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上あること。その上で、介護休業期間中の1ヵ月ごとに、休業開始前の1ヵ月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。そして、就業日数が支給単位期間(1ヵ月)ごとに10日以下であること、です。

いくらもらえるの?

支給対象期間(1ヵ月)ごとの支給額は、原則、「休業開始時賃金日額×支給日数×40%」です。この場合の賃金日額は、原則介護休業開始前6ヵ月の賃金を180で割った額になります。ただし1ヵ月当たりの介護休業給付金の上限額は、17万400円です(これらの額は毎年8月1日に変更)。


*支給対象期間中に賃金を受け取っていた場合、上記の給付額との合計額が、「賃金日額×支給日数」の80%を超えるときには、超えた額が減額されて支給されます

仕事と介護 両立のコツって?

負担を1人で抱えない

ここまで仕事と介護の両立に必要な行政サービスを確認してきましたが、両立で大切なのは、1人で負担を抱えず、親戚や兄弟、職場、ご近所、そして行政サービス、それぞれの協力を得ることです。

とにかく、介護と長く付き合える態勢を最初の段階で築くこと、そのためには介護の内容をできるだけ具体的に把握することがポイントになります。1日のなかで必要な介護内容を書き出し、自分を含めて、それに対応できる関係者を併記していきます。ここで空白となる部分が、介護保険でまかなうべき範囲になります。それでも回っていかない、仕事との両立に支障をきたすようであれば、施設の利用も検討していきましょう。

介護保険とひとくちに言っても、在宅サービス、施設サービスともに様ざまな種類があります。また介護保険サービスでも、社会福祉協議会(有償のボランティア団体などの情報を持つ)や、シルバー人材センター、民間の介護サービス企業などを活用する方法もあり、それも仕事との両立を考える上では、有効な選択肢になるはずです。そして仕事の面でも、職場の協力を得ながら、短時間勤務制度や介護休業制度、有給休暇などを上手に活用して、乗り切っていくことが重要です。

なにより大事なのは、「介護で仕事はやめない」、そう強い決意を持つこと。将来の自分の生活を考慮すれば、仕事と介護の両立はとても大事な課題です。強い決意で臨めば、きっと解決の糸口は見つかるはずです。

FPが教える
仕事と介護 両立のコツ

柳澤美由紀さん

CFP®、1級FP技能士

長崎県出身、関西大学卒。リクルートグループでコピーライターとして働いた後、1996年FP資格(AFP)取得。その後、独立系FP会社へ転職し、現在は「家計アイデア工房」と「FPフローリスト」を経営。「相続・後見マネー塾」の塾長も務めている。

最初の段階で整える

仕事と介護を両立させるためには、介護発生の最初の段階で、まわりの協力を得ながら、長く介護と付き合っていける態勢を整えることが重要です。1人で抱え込まずに、兄弟姉妹、親戚、仕事先など、介護を支えてくれるチームを組んで事に当たるべきです。この態勢を作るにあたって、介護休業制度は大事な役割を担います。残念ながら、介護休業の取得は、期間が93日と短い点や、職場の理解が深まっていないなどの理由で、なかなか広がりをみせていません。介護の負担を漏れなく満たしてくれる制度と考えてしまうと、確かに不足を感じる内容かもしれませんが、これから介護を続けていくための態勢を整える期間として考えれば、非常に有効な休業制度と言えます。生命保険文化センターの調査よれば、介護期間の平均は4年9ヵ月と、長期に及びがちです。約3ヵ月の休業期間で、介護の具体的な内容を把握し、参加者の役割を決め、費用負担についても話をまとめておくことで、はじめて仕事との両立が可能になります。次の3つのポイントも参考にしながら、ぜひ両立に向けて、がんばってください。

職場を味方につけよう

親の介護に直面した際には、職場の協力が必要です。まずは、上司や人事担当者に相談しましょう。社内評価を心配して、職場で介護の事実を隠そうとする方を散見しますが、残業や出張、転勤の可能性もあり、無理はいずれ続かなくなります。介護を理由に人事評価を下げることは、法律的に禁止されていますので、現状をきちんと説明して、職場の協力を得るほうが得策です。介護休業制度以外にも、休業期間の延長や給付金の独自支給など、さらに踏み込んだ対応をしている企業もあります。事前に、お勤め先の福利厚生制度をよく確認しておいてください。また、自分の仕事を部分的にでも、まわりに請け負ってもらうことになるわけですから、丁寧な引き継ぎを心がけることも大切です。介護による休業取得や短時間勤務への理解は、正直、育児休業ほど浸透はしていません。フロントランナーの気分でがんばってほしいと思います。

お金は親から

介護には金銭的な負担がつき物ですが、介護にかかる費用は、介護を受ける親の財布から手当することが鉄則です。体力的、精神的にも負担が発生するわけですから、金銭的な負担まで、介護参加者が引き受けることは得策ではありません。もし、親の資金で負担がどうしてもまかなえない場合は、遠方で介護に参加できない兄弟姉妹に多めに負担してもらうなど、誰かにしわ寄せがいかないよう、それぞれの立場と役割に応じた負担をお願いすることが大切です。それでも特定の人に負担が集中するようであれば、相続時の遺産分割で埋め合わせをするようにし、介護が始まった時点で、関係者の理解をとっておくことが重要です。できれば、介護を受ける親にも納得してもらい、遺言書を用意してもらうくらいの準備をしたいところです。法定相続人ではありませんが、配偶者にもこうした話し合いには参加してもらうことが望ましいでしょう。

適切なケアプランをたてる

仕事と介護を両立できない要因の多くは、希望する介護環境とケアプランのミスマッチにあります。仕事と両立しながらでも介護ができるサービス内容をはっきりさせ、それをケアマネージャーに伝えることがまずは大切ですが、それでもミスマッチは起こります。というのも、デイサービスや訪問介護などは、事業者によって提供するサービス内容に幅があり、そこに所属するケアマネージャーの場合、所属先の事業会社のサービス範囲でプランを立案するケースが少なくないためです。最初にケアプランありきではなく、自分が仕事を続けるために必要な介護サービスの内容をあらかじめ検討し、それを提供してくれる介護事業者を、地域包括支援センターなどに紹介してもらい、実際に見学してみるとよいと思います。そこに所属するケアマネージャーにケアプランを策定してもらえば、ミスマッチが起きる可能性は、かなり低くなると思います。

(記事提供:ニッキンマネー2014年11月号)

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