そもそもNISAとは

2014年1月からスタートした「NISA(少額投資非課税制度)」。金融機関のポスターなどでお馴染みですが、そのしくみを正確に理解できている人は意外と少ないようです。制度導入の目的からその概要までを、見ていきましょう。

プロフィール

望月 貴美香 (もちづき きみか)

CFP®、一種証券外務員

立命館大学法学部卒。証券会社に17年間勤務し、主に営業職に従事。きめ細やかなアドバイスとサポートを得意とする。 資産運用だけでなく、総合的な観点からお客さまのサポートをしたいという想いが高じ、FP資格を取得。現在はゆりもとFP事務所で家計管理相談や資産運用相談を担当

儲けで10万円の差?!

今年1月からスタートしたNISA(ニーサ)。口座数は順調に増え、金融庁によると2014年3月末時点で少なくとも650万口座に達したそうです。

でも、このNISAとは、どんな制度なのでしょうか。正式名称は「少額投資非課税制度」といい、ひとことで説明すると「年間100万円の新規投資額を上限に、そこから生じる配当・分配金や譲渡益を最長5年間、非課税にする制度」となります。もう少し噛み砕くと、「年間100万円までの投資については、いくら儲けがでても非課税にしますよ。ただし5年間だけね」ということです。

投資未経験の方にとってはピンとこないかもしれませんので、例を挙げて考えてみましょう。

花子さんと太郎さんが、それぞれA株式を同じ100万円で購入したとします。ただし、花子さんはNISA口座内で購入した一方、太郎さんは通常の証券総合口座で購入しました。2年後、A株式は値上がりし、2人とも150万円で売却できました。このとき2人の課税関係は、それぞれどうなるでしょうか?

2人の儲けは同じ50万円です。花子さんはNISA口座内でA株式を売買していますから、どれだけ儲けがでようと非課税です。つまり税金はゼロ。一方、太郎さんはNISAを利用しなかったため、儲けに20%が課税され、10万円(50万円×20%)が源泉徴収されます。

結果、花子さんは50万円丸々儲けたのに対し、太郎さんは40万円しか手元に残りませんでした(除く手数料・復興税)。NISA口座を使うか否か、それだけの違いで10万円もの差が生じたのです。

お手本は英国の制度

制度の概要は図表の通りです。次号以降詳しくチェックしていきますが、まずはNISAが導入された経緯から確認しましょう。

本来、株式の配当や投資信託の分配金、および譲渡益には20%の税金がかかります。でも「貯蓄から投資へ」の流れを加速させるため、2003年以降、10%に軽減されてきました。当初は5年間の時限措置でしたが、期間が繰り返し延長され、ついに2013年末で廃止されることになりました。

ただ税率が一気に倍になれば、投資に対する熱を奪いかねません。日本の家計における金融資産のうち株式と投資信託が占める割合は、2014年3月末現在で約14%。軽減税率が導入される直前の2002年末に比べ8%程度増加したものの、半分以上を現金・預金が占めていて、預貯金偏重の構図に変化はありません。

そこで、軽減税率に替わる制度として導入されたのがNISAなのです。「貯蓄から投資へ」の流れを止めることなく、投資を通じて経済を活性化し、ひいては家計も潤うという好循環をめざして導入が決まりました。

実はお手本になったのは、イギリスのISA(Individual Savings Account =個人貯蓄口座)という制度です。ISAにNIPPONのNを頭文字にしてNISAになった経緯があります。イギリスのISAは1999年4月から導入され、現在では国民の約4割が口座を保有するほど普及していて、若者や低所得者層の資産形成に一役かっています。

当初、10年という時限措置だったISAはその効果が認められ、現在は恒久化されています。日本のNISAも同じく10年という時限が設けられていますが、イギリスと同じく効果が実証されれば、恒久化される可能性もあります。ぜひ、英国を見習ってほしいところです。

(記事提供:ニッキンマネー2014年10月号 投資の入り口 NISAがいいさ)

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