制度の概要は図表の通りです。次号以降詳しくチェックしていきますが、まずはNISAが導入された経緯から確認しましょう。
本来、株式の配当や投資信託の分配金、および譲渡益には20%の税金がかかります。でも「貯蓄から投資へ」の流れを加速させるため、2003年以降、10%に軽減されてきました。当初は5年間の時限措置でしたが、期間が繰り返し延長され、ついに2013年末で廃止されることになりました。
ただ税率が一気に倍になれば、投資に対する熱を奪いかねません。日本の家計における金融資産のうち株式と投資信託が占める割合は、2014年3月末現在で約14%。軽減税率が導入される直前の2002年末に比べ8%程度増加したものの、半分以上を現金・預金が占めていて、預貯金偏重の構図に変化はありません。
そこで、軽減税率に替わる制度として導入されたのがNISAなのです。「貯蓄から投資へ」の流れを止めることなく、投資を通じて経済を活性化し、ひいては家計も潤うという好循環をめざして導入が決まりました。
実はお手本になったのは、イギリスのISA(Individual Savings Account =個人貯蓄口座)という制度です。ISAにNIPPONのNを頭文字にしてNISAになった経緯があります。イギリスのISAは1999年4月から導入され、現在では国民の約4割が口座を保有するほど普及していて、若者や低所得者層の資産形成に一役かっています。
当初、10年という時限措置だったISAはその効果が認められ、現在は恒久化されています。日本のNISAも同じく10年という時限が設けられていますが、イギリスと同じく効果が実証されれば、恒久化される可能性もあります。ぜひ、英国を見習ってほしいところです。