固定費を見直してみよう!住宅ローン編

退職を機に、収入と支出のバランスは逆転し、貯蓄を取り崩す生活が始まります。厳しいセカンドライフを乗り切るためにも、今のうちから老後に強い家計づくりをめざしましょう。今月から2号にわたって、そのポイントを説明します。

プロフィール

鈴木 暁子(すずき あきこ)

FPオフィスNext Yourself代表。CFP®、住宅ローンアドバイザー

外資系SEを経てFPに。セミナーや講演の講師をはじめ、雑誌・WEBの執筆、相談業務など精力的に活動中。最近は、50代以降のシニア層のマネープラン、終のすみか、終活サポートまで活動の場を広げている。近著に「100歳まで安心して暮らす生活設計」(実業之日本社)など

住宅ローンを再点検

「5万7592円」。これが、何の金額かわかりますか? 実はリタイア後に発生する毎月の不足額です(*)。あくまでも平均値ですが、年金生活が始まると、月々これだけの赤字が生じ、不足分を現役時代の貯蓄や退職金で賄っていくことになります。堅実に老後資金を準備している家庭ならともかく、手持ち現金が少ないご夫婦にとっては、ちょっと心配な金額と言えるのではないでしょうか。

退職後に家計の収支が逆転してしまうのは仕方ありません。そこで重要になるのが、現役時代からの老後準備です。今のうちに、不要な出費や節約できる支出を見直しておけば、老後資金を上積みすることができ、退職後の資金繰りはずいぶん楽になります。プレリタイア世代のみなさんにとっては、これが最後のチャンスです!

家計の見直しというと、食費や光熱費の節約をイメージする方も多いと思いますが、ポイントは「固定費」の見直しです。固定費には、生命保険料、通信費など色いろありますが、今回はその中でも最も効果的な住宅ローンにスポットを当ててみましょう。

住宅ローンの見直しにはいくつかの方法がありますが、まず検討していただきたいのは「繰り上げ返済」です。繰り上げ返済とは、手持ちの預貯金を住宅ローンの元本返済に充てることで、ローンの総返済額を減らすことを言います。繰り上げ返済後も毎月の返済額を据え置けば、その分、返済期間が短くなるので、その期間にかかるはずの利息を、老後資金にまわすことができます。またこれとは逆に、返済期間は変えずに毎月の返済額を少なくする方法もあります。

一般には、前者のほうが節約効果は高いのですが、一概にどちらが良いというわけではなく、ご家庭のライフプランに合わせて選択することが大切です。たとえば高校生や大学生など、教育費のかかる子どもを持つ家庭であれば、後者のほうが向いているかもしれませんし、すでに子どもが独立し、退職まで主だった出費がないようなら、返済期間を短縮して早期完済をめざすほうが安心でしょう。

ちなみに、退職金を使って住宅ローンの残債を支払おうと考えている人も結構いらっしゃいますが、退職金は数十年続く老後生活の原資としてできるだけ確保しておきたいところ。そのためにも住宅ローンは、可能な限り退職までに完済をめざしたいものです。

なお今の段階で、多額のローンが残っていたり、返済期間が10年以上残っているような場合には、住宅ローンの借り換えも検討してみてください(8月号コラムを参照)。繰り上げ返済より、高い節約効果が見込めるケースもあります。

第三の貯め時をどう考えるか

子ども独立後から退職までの期間は、人生における第三の貯め時≠ニ言われ、老後資金を準備する絶好の機会です。それだけに、少しでも早く住宅ローンを返済し、老後資金の確保を意識してください。

ただし繰り上げ返済を意識するあまり、手持ちの預貯金を使い果たしていいのかと言えば、決してそうではありません。退職までの期間、そして長いセカンドライフに目を向けて、今の支出が将来に悪い影響を及ぼすことがないかどうか、キャッシュフロー表で十分確認しておく必要があります。

いずれにせよ住宅ローンは、リタイア後の生活を大きく左右します。返済の状況によっては、再雇用や再就職を視野に入れたライフプランの変更が必要になるかもしれません。そのためにも、ぜひ今のうちに、住宅ローンを再点検してみてください。

(*)総務省「家計調査年報」(2013年平均速報結果。夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯)

(記事提供:ニッキンマネー2014年9月号 安心のセカンドライフへ 定年前のマネープラン)

武蔵野銀行の「借換スペシャル」はこちら

このページの先頭へ