この夏、スリムに変身!住宅ローン借り換え1・2・3

そもそも借り換えって?

効果の大きい「固定費」

いよいよ、暑い夏がやって来ました。この時期、気になるのがカラダのライン。夏はシェイプアップの季節ですから。でも、家計のシェイプアップのほうはいかがですか? 家計にとっても、無駄をなくしてスリムになることは大切。カラダとあわせて、この夏、家計のスリム化も考えてみてはいかがでしょう。

家計のスリム化と聞いてまず思い浮かぶのは、身の回りの節約です。日常生活の中には、かくれた無駄が色いろあります。でも…、食費や光熱費、レジャー費などをざっくり切り詰めても、月々数千円程度の節約が限界でしょうか。ちりも積もればとは言いますが、それ以上の効果を期待するのであれば、ここは思い切った方法が必要です。

実は、家計のスリム化には大きな鉄則があります。1つは、毎月決まった金額を支出する「固定費」を見直すことです。固定費を一度見直せば、その効果はずっと続きます。

そしてもう1つ、支出の金額が大きいものから手を付けるのもポイントです。そんな固定費の代表といえば、そう、住宅ローン。数千万円にものぼる人生最大の出費をうまく見直せば、家計のスリム化に大きく貢献してくれること間違いなしです。

今がチャンス?!

ひと口に住宅ローンの見直しといっても、いくつかの方法があります。いま借りている住宅ローンの返済条件を見直すことがその1つですし、まとまったお金をローン元本の返済に充てる繰り上げ返済も、手軽にローン残高を圧縮できるポピュラーな方法です。これらはいずれも、既存の住宅ローンを活用した節約術ですが、さらに一歩踏み込んで、住宅ローンそのものを、条件の良いものに借り直してしまう方法もあります。それが「借り換え」です。

借り換えとは、借入中の住宅ローンを完済し、別の金融機関で新たに住宅ローンを組むことを言います(同じ金融機関での借り換えは、原則できません)。要は、今よりも低金利のローンに乗り換えることで、利息負担を減らし毎月の返済額を抑えるわけです。

借り換えには数十万円ほどのコストがかかりますが、借り換えのタイミングや借入条件によっては数百万円単位で総返済額を圧縮できることもあります。また現在、変動金利型で借りている人であれば、低金利の今のうちに固定金利型に乗り換えることで、毎月の返済額を確定させ、より安定した家計を築くことも可能です。

日本銀行の大規模金融緩和政策により、超≠ェつくほどの低金利ですし、多くの金融機関では借り換えローンの金利優遇キャンペーンを展開中です。変動金利型はもちろん、固定金利期間選択型でも、1%を切る商品がたくさん登場しています。断言はできませんが、今後の金利見通しを考えると、今が借り換えの絶好のチャンスと言えるかもしれません。

家計のスリム化を図る上で、ぜひ考えてみたい借り換えですが、その手続きは色いろと大変です。上の図表でもわかる通り、金融機関選びから審査、借入中のローン完済、借り換えローンの正式契約まで、基本的にはすべて自分で手続きを行う必要があります。住宅購入時とは違い、ハウスメーカーなどのサポートがないため、書類の手配だけでもひと苦労です。

この点が借り換えのネックで、そのために利用を躊躇する人も少なくないようです。でも、住宅ローンとは20年、30年かけて付き合う息の長い商品だけに、金利の動向やライフステージに応じて、プランの見直しは定期的に行っておきたいもの。まずは、借り換えの効果をよく知りましょう。家計のスリム化やゆとりにつながるとわかれば、きっと前向きに取り組めるはずです。


*住宅金融支援機構の「フラット35」は、同商品への借り換えが可能

借り換えの効果を見てみよう

借り換えの3原則≠チて?

借り換えの効果を検証する際、コストとの兼ね合いが重要ですが、基本的な考え方はいたってシンプルです。借り換えによって生まれる返済額の削減効果と、借り換え時の諸費用を比べて、前者のほうが大きければ「○」、逆に小さければ「×」というわけです。

そしてもう1つ、覚えていただきたいのが、借り換えの3原則≠ナす。具体的には、@現在のローンと借り換え後のローンの金利差が「1%」以上 A借入金額が「1千万円」以上 B残りの返済期間が「10年」以上―であれば、借り換えのメリットが大きく期待できると言われています。これはあくまでも目安ですが、手っ取り早く借り換え効果を確認できるので、参考にしてみるのもよいでしょう。

1%以内の金利差でも

さて、具体的な借り換えの効果ですが、今回は2つのシミュレーションで確認してみます。1つは、「金利の高い固定金利型から、金利の低い固定金利型への借り換え」、もう1つは「変動金利型から固定金利型への借り換え」です。

単純に低い金利に乗り換える場合は、やはり諸費用との兼ね合いが大きなポイントです。シミュレーション@の試算では、借り換え効果は何と463万円。先ほどの金利の原則からは外れていますが、ローン残高が大きい場合や借入期間が長ければ、少しの金利差でも借り換え効果が出る可能性があります。0・5%程度の金利差でも、あきらめてはいけません。ただ、そのためには借り換えの検討はできるだけ早い時期に。これが鉄則です。

一方のシミュレーションAは、将来の金利変動リスクを抑えるための借り換えです。一般に、固定金利は変動金利よりも高めに設定されているので、借り換え当初の総返済額はどうしても大きくなってしまいます。ただ、毎月の返済額を長期間、確定することができるので、将来の生活設計が立てやすくなりますし、借り換え後に変動金利が大きく上昇すれば、コストが逆転することも考えられます。

なお、こうしたシミュレーションは、金融機関のホームページで利用することができます。誰でも簡単に試算できるので、一度試してみてはいかがでしょうか。

あわせて考えたい繰り上げ返済と保険

手持ち資金で諸費用を

ここでは少し視点を変えて、借り換え以外の方法を紹介しましょう。とは言っても、借り換えと決して無縁ではなく、あわせて検討することで、より効果的に家計のスリム化を進めることができます。

まず、住宅ローンの返済負担を軽くする方法として身近なのは、「繰り上げ返済」です。まとまったお金をローン元本への返済に充てることで、毎月の返済額を減らすことができます。これとは逆に、毎月の返済額を据え置いたまま、借入期間を短縮する方法もあり、この場合は完済までの期間が短くなる分、総返済額はさらに減ります。いずれにしても、現在のローンで気軽に返済できることから、多くの人に利用されています。

ただ実際には、ローン残高や金利などの状況によって、借り換え、繰り上げ返済のどちらを利用したほうが効果的かは変わってきます。やみくもに繰り上げ返済するのではなく、借り換えと比較してみることが大切です。詳細は各自、試算していただきたいのですが、目安としては、借り換えの3原則からすべて外れる場合は、繰り上げ返済のほうが有利とされています。逆に、住宅ローンの借り入れから5年未満など、あまり年数が経っていなければ、借り換えのほうがおトクになるケースが圧倒的です。

では、借り換えのメリットが見込め、かつ、手元にまとまった資金がある場合はどうでしょう? この場合は、借り換えと繰り上げ返済を一緒に行いましょう。方法は簡単。まず借り換えで利息負担を軽減させた後、手持ち資金を繰り上げ返済するだけです。ちなみに諸費用は、繰り上げ資金の一部を現金で支払います。そうすれば、繰り上げ返済や借り換えを単独で行うよりも、より大きな効果が期待できます。

保障内容の重複を確認

もう1つ、借り換えをきっかけに、さらに家計をスリム化してくれるものがあります。それは「保険」です。住宅ローンを契約する際、一般に団体信用生命保険へ加入しますが、それに伴って既に加入している生命保険と保障内容が重複する可能性が出てきます。そこで、必要な死亡保障を見直すことで、保険料を削減する余地が生まれるわけです。

最近の金融機関では、保険のコンサルティングにも力を入れており、借り換えにあわせてタイミングよく、保険を見直すことができます。

確認!借り換えのポイント

金利確認はしっかりと

借り換えに伴う手続きの煩雑さと並んで、ローン選びは利用者にとって悩みどころです。これまで取引がなかった金融機関も候補先に加わりますし、借り換えたローンの内容によって、今後の家計が大きく変わります。ここは手を抜かずにじっくり選択したいところです。

一番のポイントは、やはり金利です。借入金額や期間にもよりますが、0・1%金利が変わっただけで、総返済額は数十万〜100万円近くまで膨らむ可能性があります。まずはご自身の借り換え目的にあわせた金利タイプを決め、そこからキャンペーンで低めの金利を適用している金融機関を中心に候補先をピックアップしてみましょう。

ただその際、全期間優遇型≠竍当初優遇型≠ネどといった、複雑な金利タイプにはご注意を。見た目の金利だけではわかりづらいので、ホームページのシミュレーション機能などを使い、実際に試算してみましょう。場合によっては、FPなど専門家のアドバイスを参考にするのも一考です。その結果を踏まえ、目星をつけた複数の金融機関で直接説明を受けると、金利以外のサービス面なども明確になると思います。

たった1日が、「1年」に

最後に、借り換えを行う際の注意点を、いくつか触れておきましょう。

最近は共働き夫婦が、それぞれ住宅ローンを組むケースが増えています。ただこの場合は、担保設定の関係上、どちらか一方だけ借り換えるということはできません。夫婦の多くは、変動金利型と固定金利型を組み合わせるなどして、将来の金利変動リスクに備えていると思いますが、その場合でも1本のローンにまとめて借り換える形になります。

また、意外と忘れがちなのが、住宅ローン控除の存在です。借り換え後の返済期間が10年未満ですと、それまで受けていた住宅ローン控除の適用がなくなります。控除による節税メリットと借り換え効果を比較する必要がありますが、前者のほうが大きいのであれば、無理に借り換える必要はありません。借り換えのタイミングを計りつつ、現状のローンを継続することも検討してください。

そしてもう1つ、現在の住宅ローンの滞納は厳禁です。たった1日でも返済が遅れると、一般には1年間、借り換えができなくなります。せっかくの借り換えのタイミングを不注意でフイにしないよう、ぜひこの点は心にとどめておきましょう。

住宅ローンを上手に見直せば、家計はスッキリ、生活にゆとりも生まれます。FPの篠崎ひろ美のアドバイスを参考に、この夏、借り換えにチャレンジしてみては?

FP 篠崎ひろ美さん

しのざき・ひろみ

しのざきFP事務所代表、CFP®、住宅ローンアドバイザー
ライフプランや家計管理の相談業務や雑誌など多方面で活躍。とくに住宅ローン相談には定評があり、借り換え支援の実績も豊富。近著に「一生お金に困らないために まずは年収の1割を貯めなさい!」(産業編集センター刊)

具体的に金額で実感しよう

住宅ローンは、人生で一番大きな買い物であるにも関わらず、「借りた後は放ったらかし」という方が少なくありません。ご自身のローン契約をよく理解しておらず、見直しの第一歩すら踏み出せないのです。でもそのままでは、もったいない。現在の金利情勢を考えると、借り換えは大きなチャンスです。私のお客さまの場合でも、平均で約350万円、多い人では1000万円以上、借り換えによるコスト削減に成功しています。まずは、ご自身の借り換え効果をシミュレーションし、一体いくらおトクなのか、具体的な金額で確認してみてください。「こんなに効果があるんだ」と実感できればしめたもの。借り換えに対するモチベーションが上がり、少々の手間なら苦にならなくなると思います。

ただ自力で借り換えを行うとなると、その手続きはやっぱり大変です。申し込みから本契約まで最短でも1ヵ月半程度はかかりますし、その間には、今までに見たこともない書類のやり取りや、金融機関間の返済〜契約スケジュールの調整にも気を遣います。こうした手続きは、やはりご自身で行っていただくほかはなく、何の知識もないままでは、滞りなく手続きを進めるのは難しいと言えます。そこで1つ、お教えしたいのは、金融機関との無駄なやり取りを防ぐちょっとしたコツ。借り換え先の金融機関に訪問する際、住宅購入時の契約書類(ファイル)一式を持参し、借り換えに必要な書類を一緒に確認してもらうのです。たったこれだけの準備でも、自分の目で直接確認することで、書類の不備や漏れを大幅になくすことができます。一度、不備が起きると、数週間は作業が滞りますから、その意味でも効用は大きいと思います。

住宅ローンは、一度見直したら「それでおしまい」ではなく、ご家庭のライフプランや家計の状況によって、適宜、見直していくべきものです。とくに借り換えは金利メリットが大きく、家計のスリム化に大きく寄与してくれます。まずは、ご自身のローンにもっと関心を持ってください。そして億劫がらずに、借り換えにチャレンジしてみましょう。

(記事提供:ニッキンマネー2014年8月号 特集U)

武蔵野銀行の「借換スペシャル」はこちら

このページの先頭へ