夫婦で借りる住宅ローン

返済が2人なら準備も2人分で

共働き世帯がただいま増加中

消費税率が4月から8%に引き上げられ、マイホームの購入ラッシュもひと段落した感じでしょうか。ただ2015年10月には、再び10%への引き上げが待っています(予定ですが…)。まだまだマイホームの購入に向けて準備をしているご家庭も多いでしょう。

ただ、住宅ローンとは長い付き合いだけに、消費税アップのみを理由に、住宅購入を先急ぐのは早計です。家計収支や、立地条件、返済計画など、先々を見通して準備を進めたいものです。

とくに最近の住宅購入では、夫婦2人の収入をベースに住宅ローンを組むご家庭が目立ってきました。それもそのはず、1980年には少数派だった共働き世帯は、1992年ごろから逆転し、今では夫の収入だけで生活する世帯の1・3倍ほどまで増えています。それに応じて、夫婦の収入を合算して住宅ローンを組もうと検討する世帯が広がってきています。

収入を合算すれば希望に手が届くかも

なぜ住宅ローンの申し込みで夫婦の収入を合算するかといえば、それによって、より多くのお金を借りることができるためです。 女性の社会進出が進む一方、不景気が長く続き、家計を夫婦どちらかの収入のみに頼って生活することが、なかなか難しい世の中になりました。

マイホームの購入もまたしかり。一般に住宅ローンを組める金額は、年収の3割の返済額に収まる程度ですが、パートナーの収入を合算すれば、希望する物件に手が届くかもしれません。

しかしです。夫婦の収入を合算して住宅ローンを組む場合、単独での借り入れと違って、気をつけなければいけないことがたくさんあります。住宅ローンは、滞りなく返済できることが前提です。夫婦ともども安定した収入が継続的に得られるよう計画を立てることはもちろん、長い返済期間のうちに、パートナーに万一のことがあった際には、その住宅ローンを完済できるよう、保険で手当てしておくことも重要です。

それに購入した物件を、誰が所有するかという点も明確にする必要があります。2人でお金をだしているのに、所有者は夫婦のどちらか一方では、税制上もおかしなことになりかねません。また住宅購入者への恩恵として名高い住宅ローン減税≠焉A2人で使えるのか気になるところでしょう。

夫婦で住宅ローンを組むのであれば、こうした点を整理して準備することが大切です。返済が2人なら、その準備も2人で力をあわせていきましょう。

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夫婦で借りるとどうなる?

夫婦で借りる3つのケース

一般に、住宅ローンで借りることができる金額は、年収に応じて決まります。おおむね年収に占める年間のローン返済額の割合(返済負担率)が3割程度に収まることがその目安で、金融機関によって細かくは異なります。

このルールに照らせば、夫婦の収入を合算したほうが、より高額のローンを組むことができます。たとえば夫の年収が300万円、妻の年収が100万円の場合、400万円の3割は120万円、つまり毎月の返済額が10万円に収まる範囲内で住宅ローンを組むことができるといった考え方です。もちろんこれは最大値の話であって、実際にはもっとゆとりを持って組むことが望まれます。

ここでポイントとなるのが「保証」です。夫が単独でローンを組むのであれば、夫がその返済に責任を持つことになりますが、妻の収入もあわせて住宅ローンを組む場合、妻にも住宅ローンの返済を請け負う責任が生じます。夫がローンを返済できなくなった場合、妻がその分を返済しなければいけないわけです。合算せずに同じ物件に対し、夫婦が個別に住宅ローンを組む方法もありますが、この場合も、お互いのローン返済を保証しあう形になります。

具体的には、下の図表のように、妻が「連帯保証人」になるケース、「連帯債務者」になるケース、夫婦別々で住宅ローンを組むケースがあります。それぞれの違いを確認していきましょう。

夫婦で借りる3つのパターン

買った物件は誰のもの?

ここでちょっと疑問に思うのは、妻の収入の定義です。収入と一口にいっても、正社員として働くケースから、パートで働くケースまで色いろあります。

実は、この点の判断も金融機関によって様ざまです。収入を公的に証明できれば、働き方を問わないケースもあれば、子育てなどで妻が離職する予定がないなど、安定した収入が見込める場合に限ることもあります。また合算できる収入金額の範囲も金融機関によって異なります。

さて、住宅ローンを組むということは、その住宅を購入することを意味します。そう、自分の所有物とするわけです。では夫婦共同で住宅ローンを組んだ場合、その所有権は誰がどう持つべきなのでしょうか?

一般には、実際の購入資金の負担割合と所有権登記の持ち分比率をそろえることになります。たとえば、マイホームの取得に4千万円かかったとした場合、頭金とローンを含めて、夫の負担額が3千万円、妻が1千万円であれば、所有権の持ち分登記を、夫75%、妻25%とするわけです。

もし実際の負担額と持ち分割合が違うと、贈与税の対象になる可能性がでてきます。たとえば先ほどの例で、所有権の持ち分登記を夫と妻それぞれ2分の1とした場合、妻の負担額と持ち分登記の差額1千万円について、夫から妻への贈与とみなされてしまうわけです。

ちなみに、妻の出資比率に関わらず、任意の持ち分を登記することはできますが、先ほどの贈与の指摘を受ける可能性があります。また住宅ローンの返済で収入を合算しなかった場合でも、頭金などの拠出に応じて妻の持ち分を登記すると、妻は連帯保証人もしくは物上保証人となり、返済に対して一定の責任を持つことになります。

武蔵野銀行では、産休・育休中でも住宅ローンをお借入れいただけます。

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借り主かどうかそこが分かれ目

夫婦共同で住宅ローンを組む際の大きな関心事は、住宅ローン減税をダブルで利用できるかどうかという点でしょう。

税額控除となるので、最大10年間、年末のローン残高に応じて、支払った所得税・住民税の一部が戻ってきます。さらに消費税アップに伴い控除額も引き上げられているので、最大で毎年40万円まで還付を受けることができます(一般の場合)。

この住宅ローン控除を受ける条件は左の図表の通りですが、その前提として住宅ローンの借り主である必要があります。夫婦で住宅ローン控除を受けることができるかどうかの判断も、この点がキーポイントになります。

その視点で先ほどの3つのパターンを見た場合、夫婦個別でローンを組む場合、妻が連帯債務者になる場合は、それぞれが借り主なので、年末のローン残高と、その物件の持ち分登記に応じた控除を受けることができます。でも連帯保証人の場合はあくまでも保証人の立場なので、住宅ローン控除を受けることができません。

夫婦だからこそここ≠ノ気をつけたい

団信加入も要チェック

団体信用生命保険は、住宅ローンの返済途中で借り主が死亡・高度障害になった場合、借り主に代わって生命保険会社がローンの残債を支払うしくみです。

住宅ローン契約の際には加入が必須条件になっているケースが多く、金融機関が利用者をまとめて、団体として生命保険会社に申し込みます。保険料も、金融機関が負担するケースが一般的です。また、がんや急性心筋梗塞などの3大疾病だけでなく、8大疾病などに罹患した際も、一定条件のもとにローン残債が支払われる特約のついた団信も登場しています。

これとは別で、住宅金融支援機構のフラット35のように、団信加入が任意のケースもあります。ただし機構団信といって専用の団信が用意されており、保険料は自己負担となりますが、万一に備え、加入が勧められています。

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妻の保障はどうなるの?

では夫婦で住宅ローンを組む際、妻のほうの団信加入はどのような扱いになるでしょうか?

こちらも住宅ローン減税と同じく、ローンの借り主であるかどうかが基準になります。夫婦別々でローンを組む場合は、問題なくどちらも加入できます。ただ妻が連帯債務者の場合は、どちらも借り主の立場ですが、主たる債務者である夫しか加入できないことが一般的です。また連帯保証人の場合は、借り主の立場ではありませんので、妻は団信に加入することはできません。

つまり連帯債務者や連帯保証人の場合、夫婦共同で返済しながらも、妻に万一のことがあり、その収入が途絶えた場合の保障は手当てされないわけです。

このため民間の生命保険で、妻の返済負担割合に応じた保障を準備することが強く求められます。保険料の負担はありますが、こうしておけば、夫の返済は団信によって守られ、妻に万一があった際も、その返済部分は保険でカバーすることができます。

FPはどう考える? 久谷真理子さん

くたに・まりこ

1級FP技能士、CFPR、住宅ローンアドバイザー、不動産コンサルティング技能登録者、宅地建物取引主任者

相続・不動産コンサルティング「フリーダムリンク」専務。大学卒業後、都市銀行で融資業務に従事。現在はFPとして、個人向けに相続・土地の相談、実行支援のほか、住宅ローン、ライフプランに関する各種セミナー講師など多方面で活躍

借りるなら働き続ける意志を

住宅ローンは、1年間のローン返済額が年収の3割程度に収まる範囲でなら、借り入れを検討することができますが、この場合の年収とは税込みの金額です。実際には、さらに目減りする手取り額の中から、毎月返済していくことになります。しかも住宅ローンの返済は、20年、30年と長期間に及びます。その点を考慮すれば、住宅ローンの返済が決して楽なものでないことを、おわかりいただけるかと思います。実際、借り入れ当初の返済は順調でも、6〜8年ほど経過したあたりで、毎月の返済を負担に感じるご家庭が少なくありません。

妻の収入をあてにして住宅ローンを組む場合、最大のポイントとなるのは、妻に働き続ける意志があるかどうかだと思います。夫婦で住宅ローンを組んだにもかかわらず、妻が出産や育児をきっかけに仕事を辞めると、夫がその返済分を1人で背負うことになり、家計はさらに厳しくなります。家計の負担を軽くしたいとの思いから借り換えを検討しようとしても、一旦、夫婦で住宅ローンを組んでしまうと、夫だけの収入では、借り換えることが難しいケースも少なくありません。

借り入れが多ければ、その分、希望する物件を購入できる可能性は高まります。でも、夫婦で返済を続けていくには、妻が継続的に安定した収入を確保することが前提になります。マイホームの資金計画を立てるときには、最初に妻のキャリアプランをしっかり組み立て、どのくらい働くかなど、その意志をはっきりさせるようにしましょう。以前、結婚間近のカップルで、「妻は子どもができたら仕事をやめようと思っている」にもかかわらず、婚約を機に夫婦共同で住宅ローンを組もうとされる方がいらっしゃいましたが、私は「やめたほうがいい」とアドバイスさせていただきました。将来のことをよく考えず、現状だけをみて住宅ローンを組んでしまうと、妻が働けない環境になった場合、家計に与えるマイナスの影響が大きいと考えたからです。もちろん先のことがどうなるかについては、誰にもわかりませんが、少なくとも最初から妻に働き続ける意志がないのであれば、合算は避けた方が賢明でしょう。

住宅ローンのプランニングは「お金を借りるだけでなく、それをきちんと返済しきる」までをトータルで考えるべきものです。夫婦で住宅ローンを組むのであれば、2人とも働き続ける意志を持つだけでなく、将来のライフイベントなども想定し、ゆとりある返済額の設定を心がけることが大切です。また、主債務者である夫しか団体信用生命保険に加入できないケースでは、妻に万一のことがあった際の保障の準備を怠らないことも重要なポイントになります。様ざまなリスクを想定して返済計画を立てることは、少しパワーのいることかと思いますが、将来、困ることのないよう、しっかり準備していただければと思います。

住宅金融支援機構で聞きました

全期間固定金利の住宅ローンフラット35≠ナおなじみの住宅金融支援機構。そのフラット35推進室で活躍する館野弥生さんに、夫婦の収入を合算して住宅ローンを申し込む場合のポイントを聞きました。

館野さん:

夫婦の収入を合算してフラット35を利用する人は、契約者全体の2割弱いらっしゃいます。最近では、住宅ローン相談会に夫婦で参加される方も目立ってきました。フラット35の場合、安定した収入を継続的に得ることができる方であれば、連帯債務者としてその収入を合算してローンを利用することができます。夫婦で加入できる団信「デュエット」もありますよ。

夫婦で借りるフラット35のポイント

フラット35の団信って?

フラット35では、専用のローン保障として「機構団体信用生命保険特約制度(機構団信)」を用意しています。機構団信とは、ご加入者に万一のことがあった場合に、フラット35の残りの債務が全額弁済される制度です。ローンのご返済とは別に特約料を毎年お支払いいただきます。機構団信は、保障金額や保障期間に連動していますので、保障に無駄や不足が生じることはありません。このため、フラット35の返済途中で繰り上げ返済や返済方法の変更をした場合でも、保障金額や保障期間が変更後のフラット35のローン残高や返済期間に応じて変更になりますので、途中で保障内容を見直す必要がありません。フラット35の場合、団信の加入は融資条件ではありませんが、健康上の理由で加入できない場合を除いて、ご加入をお勧めしています。

収入合算できる金額は?

収入合算者の年収の全額です。フラット35で借りることができる金額は、100万円以上8,000万円以下(1万円単位)で、建設費または購入価額以内です。また、下記の総返済負担率(年収に占めるすべての借り入れの年間合計返済額の割合)の基準を満たすことが必要です。
・年収400万円未満→30%以下
・年収400万円以上→35%以下

つまり、夫婦の年収を合算して400万円以上になる場合には、35%以内の年間合計返済額に収まる範囲で住宅ローンを申し込むことができます。
*合算する金額が収入合算者の年収の50%を超える場合、返済期間が短くなる場合あります。

収入合算できる人は?

4つの条件(下記)にすべてあてはまる人がその対象です。ただし1人のみです。

(1)申込本人の直系親族、配偶者

(婚約者または内縁関係を含む)

(2)申込時の年齢が満70歳未満の人

(3)申込本人と同居する人

(4)連帯債務者になれる人

またフラット35の場合、たとえばパート勤めの方でも、安定した収入を継続的に得ることができる方であれば、その収入を合算して申し込むことができます。

ご存じですか?機構団信のデュエット

 ご夫婦でフラット35を返済される場合、ご主人だけでなく、奥さまの保障の準備も求められます。機構では「機構団信」の夫婦版として「デュエット(夫婦連生団信)」も用意していますので、ぜひご検討ください。この「デュエット」は、夫婦2人で加入できる団信で、夫婦のどちらか一方の加入者が死亡または高度障害状態になった場合、住宅の持ち分や返済額などにかかわらず、残りの住宅ローンの全額が弁済され、ローンの返済義務は残りません。戸籍上の夫婦(婚約関係、内縁関係含む)であれば、このデュエットを利用できます。2人分の特約料は、機構団信に1人で加入する場合の特約料の約1.56倍になります。ちなみに3大疾病付き≠ナの利用はできません。また、返済途中でのデュエットへの変更もできませんので、借入時に加入していただく必要があります。

メリットと責任どちらも確認を

最後に夫婦で住宅ローンを借りる際の実例をみて、その具体的なイメージを確認していきましょう。

上のインタビューは、住宅金融支援機構のフラット35≠、夫婦で利用した場合のポイントについて教えてもらったものです。団信の夫婦版としてデュエット≠ェ用意されている点などが特長的です。

もちろん、個別の金融機関やその商品によって、夫婦で住宅ローンを借りる際の諸条件は異なりますので、窓口でこれまで見てきたポイントを、よく確認してみてください。

働く女性が増えるにつれ、これからも夫婦で住宅ローンを利用するケースは増えてくるでしょう。夫婦で返済に責任を持つことになるだけに、円滑に返済を続けていけるよう、先を見据えた準備が大切です。

夫婦で借りるメリットと責任、その両方をよく考えて、上手に利用してみてください。

(記事提供:ニッキンマネー2014年7月号 特集 Ⅰ)

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