春、そろりと 積立投信

同じ「積立」。でも、預金とどこが違うの?

投信積立の利用状況を見てみよう

貯蓄や投資を始めるチャンス

もうじき4月、新社会人としての生活がスタートします。学生生活から心機一転、新しいことを始めるチャンスです。趣味や資格の取得など、目標は山ほどあるでしょうが、4月からは念願の給料が手に入ります。ここはひとつ、貯蓄や投資に、挑戦してみてはいかがでしょう? そんなみなさんにおススメなのは、積立型の商品。合言葉は「地道に、コツコツ」です!

ただ、ひと口に"積立"と言っても、その種類は様ざま。金融機関などでは、収入が少ないフレッシュマンでも、無理なく始められる商品をたくさん用意しています。会社によっては、給料天引き方式の財形貯蓄制度を導入していますし、銀行では積立定期預金や定期積金を取り扱っています。さらに、保険会社の平準払い終身保険も、「低解約返戻金型」(保険料払込期間満了後から高利回りが期待できる)を取り扱うところが増えています。

でも、積立型の商品はこれだけではありません。実は投資の世界にも、コツコツ派にピッタリの注目商品があるんです。それが「積立投信」。積立投信は、毎月少しずつ投資信託(ファンド)を買い足していくしくみで、将来必要となるお金を、じっくり準備することができます(囲み参照)。

お金が増える期待半面、リスクも…

積立投信は、特定のファンド名ではありません。お気に入りのファンドを、毎月一定額ずつ買い付ける投資方式のことです。金融機関では、数十〜数百ものファンドを取り扱っていますが、その多くで積み立て方式を利用することができます。一度申し込めば、所定の口座から自動的に資金を引き落として購入してくれるので、買い忘れの心配がありません。

そんな手間いらずの積立投信ですが、その魅力はどこにあるのでしょうか。一番のメリットは、なんと言っても、運用の成果が期待できる点。つまり、積み立てたお金が、他の積立商品よりも大きく膨らむ可能性が期待できるわけです。

ここでは、積立定期預金との比較を見てみましょう。積立定期預金の金利は、現在年0.03〜0.07%ほどで、積立期間と預入金額に応じて決まります。一方のファンドは、投資家から集めたお金を、ファンドマネジャーと呼ばれる専門家が株式や債券などで運用し、その成果を投資家に還元するしくみです。そのためファンド全体の平均では、年4%程度の高い利回りが期待できると言われています。ただこの数字は、積み立てるファンドの種類によって大きく変わりますし、運用がうまくいかなければ、投資元本を割り込む可能性もあります。

収益とリスクの兼ね合いをどう捉えるか、それは人によって様ざまでしょうが、実はもう1つ、積立投信のメリットを考える際に注目しておきたいポイントがあります。それは、時間をかけてファンドを買い足すことで、運用中のリスクを和らげるしくみが備わっている点です。

では、そのしくみとは…

気になる「リスク」どうやって軽くするの?

「ドル・コスト平均法」を見てみよう」

定時・定額のメリット

ファンドの価値(基準価額)は、投資対象の値動きによって日々変動しています。株価の場合であれば企業の業績や国内外の景気などが関わってきますし、債券なら会社の信用力や金利変動の影響を受けます。また、海外資産に投資するタイプであれば、外国為替の動きにも左右されます。

こうした要因によって、ファンドの価値が変動することを総称して「リスク」と言いますが、投資を始める際は、まずこのリスクを理解することが前提になります。

ただ、いくら「投資は自己責任」といっても、大切なお金が目減りしてしまうのは避けたいところ。ここで大切なのが、ファンドの選定に加えて、リスクをできるだけ少なくする"投資方法"です。

実は、投資対象の値動きに左右されず、つねに一定金額を購入し続ける積立投信には、リスクを抑える機能が備わっているんです。

覚えておきたいドル・コスト平均法

では、そのしくみを詳しく見ていきましょう。

下の囲みは、毎月同じ日に1万円ずつ積立投資を行った場合、どれくらいのファンドを購入できるかを表したものです。購入金額は一定ですから、基準価額が低い時に購入すれば口数は多くなり、逆に基準価額が高い時に購入すれば、口数は少なくなります。

これだけ見ると、「基準価額が低い時にたくさん買えばいいんだ…」と思うかもしれませんが、基準価額の値動きを正確に予測することはプロでもできません。でも、基準価額が高い時も低い時も、継続的に一定金額を投資すれば、購入価額の平準化を図ることができます。その結果、長期的にはファンドの平均購入価格を下げる効果が期待できるのです。このしくみを「ドル・コスト平均法」といい、価格変動リスクを抑える手段として一般投資家にも広く浸透しています。

なお、このドル・コスト平均法を利用して投資を行った場合、解約時の基準価額が購入時の基準価額を下回っていても、平均購入価格が上回っていれば運用益が出るケースもあります。

一方、一括購入のケースでは、基本的に解約時の基準価額が、購入時のそれを上回っているか否かで、損得が決まります(分配金、手数料は考慮しない)。囲みの場合ですと、5月、8月の時点では利益が出ていることになりますし、6月に解約すれば運用損が確定することになります。

ただここで注意しておきたいのは、囲みのケースはあくまで一例にすぎないということ。購入から売却までの期間中、基準価額が1本調子で上がり続ければ、一括購入したほうが利益は大きくなりますし、その逆もありえます。また積み立て型で投資したからといって、必ず資産が増えるわけでもありません。

ドル・コスト平均法は、あくまで、価格変動のリスクを抑えることで、運用の安定性を高めるしくみであることを、よく理解しておきましょう。

"ワンコイン"から購入OK 話題の「NISA」でも注目

リスク確認はしっかりと

積立投信の特徴がわかったところで、次は手続きのお話です。

実は、投資の未経験者がファンドを購入する場合、預金のように手軽に始められるわけではありません。金融機関では、利用者から申し込みを受け付ける際、「購入目的はなにか」「リスクの内容を理解しているか」などの確認作業を行うことになっています。もし、その内容に不足があった場合には、原則、受け付けてもらえません。

またファンドの資産は、預金口座とは別建てで管理するため、「投資信託口座」の開設も必要です(その銀行と取引がない人は、普通預金口座も)。申し込みから運用開始まで1〜2週間ほどかかるので、購入を予定している人は早めに手続きしておきましょう。

右のページに積立投信の基本的なサービス概要をまとめました。購入金額や代金の引き落とし日は金融機関によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。ちなみに購入金額は1万円からのところが大半ですが、500円のワンコインから購入できる証券会社もあります。

また上の囲みで紹介しているファンドは、積み立てで購入できるファンドの一例です。ひと口に積立投信といっても、その種類は様ざま。運用対象を債券に限定しているものや、株式を中心に組み込むタイプ、さらには「バランス型」と言って、債券、株式、不動産などにバランスよく投資するファンドなどバラエティー豊かです。ファンド選びで迷ったら、銀行の担当者に相談したり、目論見書でファンド内容を確認し、そのリスクをしっかり見極めるようにしてください。

非課税の恩恵

今年1月にスタートした話題の「NISA」でも、積立投信を利用することができます。1年間で100万円(最大500万円)までの非課税枠が最長5年間続くので、非課税の恩恵を受けながら、資産をじっくり増やすにはよい機会です。現在、多くの金融機関でNISAキャンペーンを展開しており、期間中の販売手数料を無料にしているところもあります。

ちなみに、1年間の投資額が100万円を超えた場合、その超過分は一般の課税口座で運用されます。このため積立投信の場合、月々の積立金額が約8万3千円(100万円÷12)を超えると、その分の運用益には税金がかかりますのでご注意ください。

積立投信とどう付き合う?

信託報酬、再投資もポイント

積立投信は基本的に、資産をじっくり育てる「長期運用」が前提です。それだけに、ファンドにかかる手数料を吟味しておくことは、効率的な運用を考える際の大事なポイントです。

手数料は大きくわけて、ファンドの購入時に支払う「販売手数料」と、運用期間中にかかる「信託報酬」の2つがありますが、とくに注意しておきたいのは後者のほう。運用している間、毎日支払い続けるコストなので、運用期間が長いほど、将来の運用成果に影響してきます。

信託報酬の年率はファンドによっても異なりますが、高いものでは年3.5%ほどかかります。ファンド全体の平均利回りが約4%であることを考えると、決して見過ごすことのできない費用です。詳しくは目論見書の「費用欄」に載っていますから、ファンド選びの際、ぜひ確認してみてください。同じタイプのファンドをいくつか比較してみると、その違いがよくわかると思います。

もう1つ、分配型の積立投信を購入する場合、分配金を現金で受け取るか、その分配金で同じファンドを購入(再投資)する方法のどちらかを選択できますが、長期運用を考えている場合は「再投資コース」の選択をお勧めします。再投資分には販売手数料が一切かかりませんし、購入した分の口数が上乗せされることで、複利効果も享受できます。

貯蓄から投資へ

「貯蓄から投資へ」―。政府が掲げるこの合言葉によって、私たちを取り巻く投資環境は広がりつつあります。従来の証券優遇税制(*)に代えて、新たにNISAを導入したのもその一環で、投資に対する注目度は一気に高まりました。とくに若い世代にとっては、将来に向けた資産形成を考える大きなきっかけになりそうです。

ちなみにNISAは、現状、2023年(10年間)までの時限措置となっていますが、制度が定着すれば恒久化される可能性も残されています。

新社会人のみなさんにとっては、これからの人生、結婚や子どもの誕生、マイホームの購入、そしてリタイア後の生活など、様ざまなライフイベントが待ち受けています。こうした節目をより充実したものにするためには、早いうちから上手にお金を働かせておく必要がありそうです。

まずは地道にコツコツと。積立投信で、投資家の第一歩を"そろり"と踏み出してみませんか?

(*)上場株式や株式投信の売却益や配当金、分配金にかかる税率を、20%から10%に軽減した措置

FPの鈴木暁子さんに聞きました

すずき・あきこ

Next Yourself代表
CFP®、住宅ローンアドバイザー

積立投信とは、こう付き合おう

最初は誰でも初心者
経験しないとわかりません

預金にお金を預けていれば、そこそこお金が増えた昔とは違い、今は真剣に資産運用を考えなければ、お金を増やすことが難しい時代になりました。

そのためにも、若い頃から投資に慣れ親しんでおくことは、将来の生活設計を考えるうえでとても大切なことだと思います。その点、積立投信は、まとまったお金がなくても手軽に投資を始めることができる、新社会人になじみやすい商品です。なかには「リスクは怖い」と不安を抱く方もいるでしょうが、その怖さも実際に投資を経験してみないとわかりません。最初は誰でも投資の初心者です。いたずらに恐れることなく、前向きに投資について考えてみてはいかがでしょうか。

投資目標か目標金額を決めよう

実際に積立投信を始める場合、どんなタイプのファンドに投資してよいのか、判断が難しいかと思います。そこで個人的にお勧めしたいのは「インデックス型」「バランス型」と呼ばれる2つのタイプのファンドです。インデックス型とは、新聞やニュースでおなじみの日経平均株価やTOPIXなど、市場の指数への連動をめざすしくみで、わかりやすいのが特徴。もう1つのバランス型は、複数の資産に分散投資することで、リスクの軽減効果が期待できるファンドです。いずれも投資の初心者には、とっつきやすいタイプだと思います。

投資とは長い付き合いになるだけに、途中で挫折しないよう、投資目標をはっきりさせることが大切です。ただ、新社会人のみなさんに目標といっても、イメージが湧きづらいかもしれません。そんな時には、まずは100万円にチャレンジするとよいと思います。月々1万5,000円ちょっと積み立てていけば、預貯金であればおよそ5年半かかるところ、運用がうまく行けば、もっと短期間で目標金額に到達することも可能です。

これまで見たことのない桁数(7桁)が記載されたファンドの報告書を見れば、投資へのモチベーションはさらにアップするはずです。

(記事提供:ニッキンマネー2014年4月号 特集U)

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