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~第37回 J-REITって何?~

花子

「最近、新聞を読んでいたら『J-REIT』という投資信託の記事が出ていました。読んでみると、なんでもJ-REITというのは不動産の投資信託ということらしいのですが、不動産の投資信託というのはどういうものなのでしょうか」

先生

「花子さんも新聞の記事をチェックしていて感心ですね」

花子

「私だって毎日、新聞に目を通していますよ。でも、J-REITの記事はたまたま見つけたものです」

先生

「そうなのですか。でも、新聞に目を通すことを習慣づけているのは良いことですね。では、今回はJ-REITについて話をしましょう。まず、花子さんに質問ですが、投資信託の特徴を覚えていますか」

花子

「えええ、いきなりですか・・・投資信託の特徴は、たしか一つは専門家が運用してくれることで、もう一つは少額からでも投資が出来るということだったと思います」

先生

「もう一つ、覚えていませんか」

花子

「3つもありましたか?うーん、わかりません」

先生

「もう一つは分散投資がなされているということです。ちゃんと3つは覚えておいてくださいね。では、J-REITを考えてみましょう。J-REITとは、多くの投資家から集めた資金で複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。もともとREITという仕組みはアメリカで生まれ、『Real Estate Investment Trust』の略でREITと呼ばれています。そして、J-REITのJは日本のJです」

花子

「不動産というと、家とか土地ですか」

先生

「不動産というと家を想像しますが、ここではオフィスビルとか商業施設やマンションなどが該当します。つまり、収益性のある不動産です」

花子

「なるほど、もっと大きな視野で不動産を見ないといけないのですね」

先生

「その通りです。そうした不動産に投資をして、賃貸収入や売買益を分配するという仕組みになっています」

花子

「そこは普通の投資信託が株式などに投資をして値上り益や配当金などを狙うのと同じですね」

先生

「その通りです。さて、その仕組みなのですが、まずは株式会社のような形態をとります」

花子

「株式会社ですか?どういうことでしょうか」

先生

「はい。不動産投資法人という会社に似た形態をとるのです。通常、会社では経営のための資金集めとしてあるモノを発行しますよね。何だか覚えていますか」

花子

「株式会社が発行するのは・・・ちょっと待ってください。株ですか?」

先生

「その通りです。株式会社は株式を発行しますが、不動産投資法人は株式に似た
『投資証券』を発行して、これを投資家が購入することになるのです」

花子

「ひょっとして、株式に配当金があるように、不動産投資法人は投資証券を持っている人に配当金のような利益が払われる仕組みになっているのですか」

先生

「おっ、良い勘をしていますね。そうなのです。投資証券を発行して集めたお金を元にオフィスビル等に投資をして、得た収益を分配する仕組みになっているのです」

花子

「説明を受けると、本当に株式会社と株式の関係に似ているのですね」

先生

「似ていますね。また、J-REITも投資証券が証券取引所に上場されています」

花子

「えっ、上場しているのですか。ということは、投資証券の価格は取引時間中に上がったり、下がったりしているということですよね」

先生

「はい、株式と同じように需要と供給によって価格が変化するのです。ところで、ここで大事なことがあります。J-REITというのは不動産投資信託の中でも上場をしているモノのことを言います。そして、もう一つ。銀行や証券会社で販売している『○○J-REITオープン』といった種類の投資信託があります」

花子

「あっ、それは今回、J-REITの記事を見た後で自分でも調べていたら、銀行や証券会社の商品ラインナップなどで見かけました」

先生

「そうした『○○J-REITオープン』という投資信託は、ここで勉強してきた投資信託のことです。つまり、今まで勉強してきた投資信託は、集めたお金で株式や債券を購入しましたが、その運用対象がJ-REITになったという投資信託なのです」

花子

「なるほど、上場して取引が行われているJ-REITと、そのJ-REITを運用対象とした投資信託があるのですね」

先生

「その通りです。では、ここでJ-REITの特徴を考えてみましょう。ただし、J-REIT自体もそしてJ-REITを対象とした投資信託も基本には不動産が存在することから、それぞれの特徴はほぼ同じです」

花子

「是非、お願いします」

先生

「J-REITは投資信託と同様、つまり、比較的少ない資金で購入することができます。土地とかマンションといった不動産は通常何千万円という価格になりますが、J-REITであれば10万円前後、投資信託であれば1万円前後と比較的少ない金額で取引できるのです」

花子

「オフィスビルや商業施設は、普通のサラリーマン家庭では買えませんもんね。そういう不動産に投資をしている投資証券を少ない金額で買えるというのは魅力があります」

先生

「次に、分散投資がされています。個人で不動産を分散投資するということは難しいですよね」

花子

「一体いくらかかるのか、気が遠くなります」

先生

「更には、投資信託同様、専門家が運用をしてくれるのです」

花子

「そこは投資信託と同じで投資家側から見ると『ホッ』とするところですね」

先生

「最後は流動性と分配性向が高いということです。証券取引所で取引がなされていることから流動性、換金性はあります。また、J-REITの場合は、家賃収入などの収益の大半を分配してくれるのです」

花子

「そういうのは嬉しいです。魅力はよくわかりました。デメリットはあるのですか」

先生

「はい。投資商品ですので、元本の保証はありません。また、1990年代のバブル崩壊のように、不動産価格が大きく下落する可能性もあります」

花子

「そうなのですね。他に、地震などの災害も影響しますか」

先生

「もちろん、影響します。そして、実は、最近もう一つ気になるニュースがあったので、ちょっと加えておきたいと思います」

花子

「えっ、気になるニュースって何ですか」

先生

「それは空室率の問題です。コロナ禍でリモート、テレワークが進むことで、従来のような大きなオフィスは必要ないとか、事業継続が難しいといった理由で空室などが増えているのです」

花子

「あっ、ちょっとニュースで見たことあります。新しく広いオフィスに引っ越そうと思っていた矢先にコロナ騒動となり、逆にオフィスを縮小する動きも出ていると聞きました」

先生

「こうした動きが影響しているせいか、J-REITのマーケットが低迷しています。特に、日銀は国債やETFの他にJ-REITも購入しています。日銀が購入しても、低迷が続いているというのは気になります」

花子

「わかりました。今後は空室率のニュースなどにも目を光らせたいと思います。おかげさまで今日はJ-REITを理解できました。ありがとうございます」

J-REATとは、投資家から集めた資金で複数の不動産を購入し、収益を分配する仕組みです!

『武蔵野 花子』プロフィール
埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。

『川口先生』プロフィール
証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。

執筆:川口一晃

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