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~第35回 景気を知る~

花子

「新型コロナウイルスの影響で、景気が悪くなるのではないかと私の周りでも多くの人が気にしています。この、景気が悪くなった、良くなったというのを私たちはどのようにして知ることが出来るのでしょうか?」

先生

「いい質問ですね。花子さんは自粛期間中、スーパーマーケットなどに買い物に出かけたりしましたか?」

花子

「はい。頻繁に外出をしてはいけないと思っていたので、1週間分をまとめ買いする形で買い物に行っていました」

先生

「その時のスーパーマーケットの雰囲気や人出というのはどうでしたか?」

花子

「ショッピングセンターの中にあるスーパーマーケットを利用していたので、自粛期間中は周りの店舗が休業していて、店内自体が寂しい雰囲気でした」

先生

「ほかの地域もだいたい似たような状態でしたよね。でも、そういう寂しいという感覚も景気を知るのには重要です。実際に私たちの日常の感じ方を景気指標に活かしたものがあるのです」

花子

「私たちが感じている気持ちが景気の指標になるのですか?それは私にも簡単にわかりそうな指標ですね」

先生

「内閣府が発表している『景気ウォッチャー調査』というものです。これは景気を敏感に感じることが出来たり、観察できたりする人、つまりは景気ウォッチャーの協力を得て算出します」

花子

「景気を観察する人で景気ウォッチャーですか。なんだか面白そうです」

先生

「例えば、タクシーの運転手やデパート、スーパーマーケットで働く人等、約2,000人にインタビューして集計したものなのです」

花子

「確かに、そういう職種の人たちは景気の動きを敏感に察知できそうですね」

先生

「内閣府から毎月発表されますので、新聞やニュースでも見かけることが多いのではないかなと思います」

花子

「直近はどのような感じに景気を見ているのですか?」

先生

「2020年6月に発表された景気ウォッチャー調査によると、厳しい状況にはあるのですが持ち直しへの期待がみられる、というものです」

花子

「改善が見られているのですね」

先生

「はい。これは3月、4月と自粛が続いて厳しい水準になったものの、自粛が解除され、悪化に歯止めがかかりつつあるからです」

花子

「なるほど、自粛の解除後の期待もあるのですね」

先生

「でも、あくまでも前月と比較して改善したということであって、水準は極めて低い状態にあるということを忘れないでください」

花子

「はい。これからは毎月の景気ウォッチャー調査を気にするようにしたいと思います」

先生

「他には、雇用状態を見ることによって、景気の良い悪いを知ることができます。
『有効求人倍率』という言葉を聞いたことはありませんか?」

花子

「あっ、その言葉はニュースで聞いたことがあります」

先生

「簡単に言うと、求職者に対する求人数の割合のことです。厚生労働省が全国のハローワークの求職者数および求人数を基に算出しています。式は簡単で、求人数を求職者数でわります。ですから、1倍を上回っている状況というのは仕事を探している人よりも、企業が募集している人数の方が多いのですから、景気は悪くないということになりますよね」

花子

「そうですね。ところで、現在の有効求人倍率というのはどのような数字になっているのですか?」

先生

「2020年の5月の有効求人倍率は1.20倍となっています」

花子

「あれ、1倍を超えているというのは、求人数の方が多いので景気が悪いとは言えませんね」

先生

「その月だけを見るとそうですね。しかし、こういう指標は時系列的に見ていくことが大切です。5月の倍率は1.20倍ですが、前月比0.12ポイント低下していて、前年同時期に比べても0.42ポイント低下しています。つまり、新型コロナウイルスの影響で雇用環境の悪化が続いているとみるべきなのです」

花子

「そうなのですね。わかりました。でも、景気ウォッチャー調査は改善して有効求人倍率は悪化したのですよね。結局のところどのように判断すればいいのでしょうか?」

先生

「いい質問ですね。緊急事態宣言が解除され、私たちは明るい気持ちを持って、消費をはじめとして経済活動が徐々に再開されることに期待しています。つまり、心理的には上向きになりつつあります。しかし、雇用環境についてはこれから悪化する可能性があるので、景気が上向くのはもう少し時間がかかると考えた方がいいでしょう」

花子

「なるほど、そういうことですね」

先生

「今回紹介した2つの指標は、一般の人も景気を知る上で押さえておきたい指標です。マスコミで報道されますので、情報として入手しやすいです。そしてもう一つ、GDPを見ておくようにしましょう」

花子

「GDPは知っていますよ。国内総生産のことですよね」

先生

「その通りです。GDPというのは、一定の期間内に国内で新たに生産されたモノやサービスの付加価値の総額のことです。現在はこのGDPをもってその国の経済力を比較したりしています。日本のGDPは、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の経済規模となっています」

先生

「このGDPは3ヶ月毎に発表されます。ですから、遅行性が強いという点に注意をする必要があります。ですが、一般に景気を知るというのであれば、今回紹介をした3つは覚えておくと良いでしょう」

花子

「わかりました。ありがとうございます」

景気ウォッチャー調査は私たちの間隔に似ているんですね!他にも参考になる指標として「有効求人倍率」や「GDP」もありますよ

『武蔵野 花子』プロフィール
埼玉県内に住む33歳の女性。
パートタイムで働いており、家族は会社員の夫・長女(小学校1年生)・長男(幼稚園)がいる。最近よくママ友と子供の教育費や、家の購入について話すことが多く、これからのお金の使い方について、どうすればいいのかわからず悩んでいる。

『川口先生』プロフィール
証券会社や銀行を経て、現在は金融ジャーナリストとして活躍している。武蔵野家の近所に住んでいて、悩める花子に対しお金についていろんな角度から話をしてくれる。
趣味はスポーツで、ゴルフが得意だそう。また、社会人になってから始めた空手も黒帯である。

執筆:川口一晃

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